特にテレビ番組制作スタッフの方々へ
イラスト発注の際の注意点を以下にご説明します。特に近年弊社が多く請けているテレビ番組用イラストの制作は、時間が無い特急扱いの案件が多いので、万全の体制で臨む必要があります。
十分な情報が揃わないなど、ちょっとした不備が失敗の原因となってしまう世界です。以下の点をご理解いただき、ご協力をお願いいたします。
本当の納期をお知らせください
よくあるのですが、特急制作で納期に何とか間に合わせた後、納期を過ぎてから「すみません、直しがあるのですがお願いします」と言われることがありますが、こうしたご要望にはお応えいたしかねる場合があります。
私たちは納期に合わせてスタッフ繰りをしているので、納期を過ぎた仕事まで対応はできません。もちろん可能な限り善処はいたしておりますが、繁忙期などは物理的に対応が難しい場合があります。
納期は「デッドライン」ですから、その日時を過ぎてしまえば弊社は次の仕事にとりかかります。納品期日までに納品が終わっている仕事については「すでに納品済み」ということになりますので、その仕事のためにイラストレーターをスタンバイすることはありません。
お客様としては「早めの日時を納期として設定しておいたほうが安心」と思うのかもしれませんが、それは全くの間違いです。時間に余裕があるなら、正直にその日程をお伝えください。
発注は直接お願いします
良い仕事をするためにも、発注する際に発注内容を一番理解している方からのご発注をお願いします。テレビ番組の現場の場合はディレクターさんがその立場にあたります。多くの場合、イラストを発注してくるのはADさんです。ところがADさんですと、その番組に必要なテイストなど細かい点はわかりません。伝言ゲームの連続になり、無駄な時間と手間がかかります。こうした手間については弊社は対価を請求することにいたしております。
また、締切が近い場合、不明瞭な点を残したままイラストを描くと、大きな失敗の原因となります。
イラストはそのまま映像作品で使われるもので直接の素材となるものです。素材の演出はディレクターさんが本来すべきことですので、ディレクターさんからのご発注をお願いします。
出来ればコンテをお願いします
お急ぎの場合でも可能な限り発注時にはコンテをお願いいたします。コンテがあるだけで大きな間違いを防止することができます。特に特急案件の場合は一度のミスが命取りになることがあります。
弊社では台本からコンテを作成してイラストを起こすサービスも行っておりますが、コンテを描くには台本を読み解き、演出意図を把握し、それを構図に反映させるスキルが求められます。こうした高度な仕事ですので、コンテ作成はもちろん有償となりますし、弊社で描いたコンテの内容をご確認いただく必要もありますので時間が余計にかかる場合もあります。
特にテレビ番組のように限られた予算と時間の中で制作をお考えの場合は、できればコンテをお願いいたします。
求める作風がわかるようにご発注いただく
テレビ番組用のイラストを受注する時に、よく耳にするのが「線画ができたら見せてください」という言葉です。線画の段階で軌道修正をしたいという意向なのでしょうが、実はあまり良い方法とは言えません。
イラストというのが下書きにあたる線画を描く段階が一番労力がかかる作業です。下書きというのは一番最初の段階の仕事ですが、これが出来た段階でイラスト作成の7割は終わっているとご理解いただきたいのです。
色などの変更は、正直、ソフト上で「ワンクリック」で直せるので簡単なのですが、下描きの線画というのはコンピュータで描く時代になっても、結局のところイラストレーターが手を動かして一本一本の線を描く仕事ですから、全部やりなおしになるのは避けたいところです。
そこで、特にお急ぎのイラスト発注をいただいた際には、線画の段階で大きく理想とズレないように必ず作風の指定をしていただくようにいたしております。
具体的には以下の方法があります。
例えば何かイメージしているイラストなどがあるなら、そのイラストをファイルで添付していただく、もしくは公開されているURLをお知らせいただくなどの方法で、見せていただきたいのです。簡単な方法ですが、一番確実です。
イラストの作風というのは、アングルはもとより、線の太さなどにも関わります。こうしたイラストの作風を生み出す要素を読み取って活用すれば、線画の段階で大きく作風がずれることは無いので修正作業も最小限度で済むはずです。
下請法を守っていただく
「法律を守ってほしい」というのも、当たり前すぎて驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、いまだに下請法については知識を持っている方が少なく、問題となるケースが後を絶ちません。
例えば何枚イラストをご発注いただくのかわからない段階で「予算がこれだからこの中でやってください」というご相談を頂戴することがありますが、これを「グロス発注」と言い、法律でも一般的商道徳でも認められていない取引方法です。
何枚イラストを描いても決まった金額しかいただけないとしたら、一枚あたりの金額は描けば描くほど安くなります。弊社はクリエイターの立場を守ることも仕事のうちと考えておりますので、こうした一方的な契約には応じておりません。詳しくは下請法の解説ページをご覧ください。