モデリング作業とは
モデリングとは、三次元CGの形状データを作成する作業を言います。CG制作用ソフトウェアの三面図の中に形状を描き、立体的な姿形を構築します。
CGを制作する工程の中で最も時間がかかり、かつ緻密さが必要な工程でもあります。そしてこのモデリング工程の自動化は、3Dスキャナーなど過去にもさまざまな方法が試みられてきましたが、いまだに決定打と言える自動化の方法がありません。つまり事実上は、ほぼ100%が手作業というアナログな仕事です。
コンピュータの画面の中で、あたかも粘土細工をするように形状を作り上げていく緻密な作業となりますので、担当するクリエイターにも相応の経験と実力が求められます。
写真からモデリングする場合の概念、近年では写真から自動で形状を認識する機能を持つソフトも存在する
弊社デキサでは自社でもモデリングを行いますが、時間的な制約が大きい場合や規模が大きい場合はアライアンス関係にある複数の制作会社と共同で作業を行うことによって効率よい現場構築を行うことも可能です。
また、テレビ番組などのように「急いでCGカットが欲しい時」などの作業は優先的に受け付けておりますので、お急ぎの場合でもぜひお声掛けください。
モデリング工程の5段階

↑実績のひとつ「岡村人形」~過去多くのメジャーメディアで活躍してきたデキサのCGモデラー
モデリング作業は細かく分けると5つの工程から成り立ちます。ここではその5つの工程を細かく説明してみます。これらの分類名称は弊社独自のものです。ワークフローの効率化のために弊社は以下のような段階にわけて考えています。
造形(モールディング)※弊社独自の名称です
造形は、モデリングする対象物を三次元的な構造体として全体を把握してCGソフトの三次元座標上に立体的に形状を描いていく作業です。闇雲に形状を描いていくのではなく、後々の工程で無理が出ないよう計画性が求められる工程です。ですのでCGのすべてを理解していなければ本当の意味で的確な造形ができないという意味においてCGクリエイターにとっては第一関門でもあり、この作業を受け持つクリエイターはCG制作スタッフの中でも特に技術に秀でた者が担当します。
関連情報~モデリングを支援する3Dスキャン
例えば右のCG画像を御覧ください。大谷石の採石場跡の地下空洞内部ですが、これは栃木県立宇都宮工業高校様が2018年にスキャナーで計測した点群データを基にしています。とはいえ点群データもこの規模となるとデータが重たいため、そのまま使うとレンダリング段階で精緻なテクスチャを使用できなくなるため、あくまで3Dスキャンのデータをガイドとしながら正確にそのアウトラインをなぞり、線形状という大変軽量なデータに置き換えるという作業をいたしております。
3Dスキャンによる点群データからの映像制作はぜひ弊社デキサにご相談ください。
ボーン作成/関節設定等(リギング)
人体であれば関節を設定したり、クルマであればハンドルやホイール、ドアなどに回転できるよう設定を細かく追加していきます。
質感設定(テクスチャリング)
マテリアルは、その形状パーツの色や光沢、反射係数、透明度、屈折率、発光などを数値で設定します。テクスチャマッピングは、フォトショップなどのグラフィックソフトで作成したり、カメラで撮影した画像データを三次元形状に対して貼り付ける作業です。
ライティング
・電球のような点光源(ポイント)
・当たる範囲を限定することができるスポットライト
・写真撮影のライトのように物理的に減衰するエリアライト
・環境光(アンビエントライト)
これらを組み合わせて狙った質感になるように設定します。
特にフォトリアルCGを作成する場合、光の品質は特に重要ですが、あまり光の品質を上げてしまうと大変なレンダリング時間を使う事になります。後で辛くならないようモデリングは先の作業まで見越して行うべきものです。
アニメーション設定
三次元形状モデルに組み込んだボーン作成や関節設定、回転軸や直線移動軸などの時間軸に対して、数値を打ち込んで動きをつける作業です。弊社における実作業では一つのプロジェクトデータの中で複数の動きをつけるのは避け、一つの動きに対して一つのプロジェクトデータを作るようにしています。
一つの動きを5秒から10秒(150~300フレーム)程度で作り、レンダリングした動画データを編集でつなげて連続性のある動きにすることで、作業の間違いを減らし、かつ編集上で修正を容易にできるようにします。
VR/AR向け3Dモデリング(データ作成)も実績あり
VRやARといった、いわゆるXRコンテンツは近年その利用範囲が広がりつつある分野です。弊社でもこれらXRコンテンツを開発するツールの一つでもあるUnityで実装・活用するための3Dデータのモデリング作成も承っております。
上記は福山城の築城400周年事業で公開されたXR(VR)コンテンツ用にモデリング制作した三次元データです。ファイル形式もUnityで問題なくインポートできるようチェックを重ねて納品いたしております。
バーチャルスタジオ3Dモデリング
バーチャルスタジオ用のリアルタイム放送用コンポジットシステムで使用する三次元形状データもモデリングいたします。バーチャルスタジオはグリーンバックによる実写撮影動画とCリアルタイムでレンダリングしたCG画像を合成する技術であるため、そこに使われる3D形状データは、リアルタイムレンダリング用途に軽量かつ安定した3Dモデルであることが求められます。
弊社代表がディレクターを担当していたテレビ朝日『スーパーJチャンネル』内で行われた日本初のモーションキャプチャーバーチャル天気予報『源さんの天気予報』(源さん・佐々木アナ/なたねちゃん・高橋里華/気象予報士・依田氏が共演)をはじめ、多くの経験を基に、リアルタイムレンダリングに向いたテクスチャのマッピング手法など研究を重ねてきました。
Shade3Dを使用したモデリング
デキサでは創業まもない頃から、業務で「Shade3D」を活用している数少ないCG制作プロダクションです。映像制作会社でありながら三次元CGを業務内容に加えてきたデキサは、扱いやすく、しかもフォトリアリスティックな画質に優れているShadeを積極的に業務で使用してきた経緯があります。
Shadeの特長は、線形状を基本としてモデリングを行うという点です。直線、曲線を組み合わせてモデリングを行いますので、イラストレーターなどの二次元グラフィックソフトにおけるベジェ曲線を扱ったことがある人なら習得が容易です。
映像制作会社では映像に編集で組み込む表やイラストなどですでにベジェ曲線による描画は頻繁に行っているという事情もあり、導入が比較的容易でした。そのため、Shadeをモデラーとして活用することにより、映像制作会社でありながら高い水準のオリジナルモデリングを可能にしています。

↑デキサのモデリングでメインに使われている線形モデリングソフト「shade」のインターフェース
過去の膨大な蓄積を活用できるデータベースが強み
この過去の蓄積の活用の効率化こそ、デキサのCGが速い秘訣でもあります。
実際のところ多くのテレビ番組で起こりうる「明日CGを完成させたい」といったご要望にお応えするには、毎回オリジナルでモデリングを起こしていたら絶対に間に合いません。そこで過去の蓄積から「近い案件のモデル」を探り出し、これをベースにして加工することで、わずかな時間と工数でCGのカットを構築していきます。
幅広い三次元モデルのアーカイブが、デキサのCG制作のスピードアップに貢献しているのです。
人体CGにおいて高く評価されている独自モデル
弊社デキサは長年にわたり解剖系のCGモデリングを行ってきた日本でも数少ないCG制作会社です。近年では筋肉を扱う書籍のCGイラスト制作などを手掛け、これらは高い評価をいただいております。
弊社が制作してきた筋肉モデルは、整形外科、整体、エクササイズ、スポーツなど幅広い分野で利用されており、数多くの作品中に登場しています。
ほとんどが曲線で成り立ち、医学関係の多くの専門家の方々にご利用いただける人体の三次元モデルを制作できるということは、デキサの3D-CG制作部署がいかにフレキシブルな能力を有しているかの証明です。
CG制作の費用について
費用については上記の「モデリング」以外にも「レンダリング」「レタッチ」を加えた三つの項目にかかる費用の合計で見積りますが、詳細はCG制作の費用のページをご覧ください。