三次元CG(3D-CG)の利点/メリットについて
三次元CG(3D-CG)の活用をオススメする意味はいくつかあります。通常の実写だけでは伝わらない概念をストレートかつ直観的に伝えることができるのが三次元CGを作品中に挿入する利点です。映像を制作してみると、「カメラでは撮影できない」「撮影はできるが不要な要素が多く写り込んで本質が見えにくい」という事例が山のようにあります。その解決策がCGです。ここでは三次元CGがいかに有用な表現手段かという、存在意義の解説をしてみたいと思います。
要点を単純化して抽象化する
カメラ撮影による実写では壁や床など、論点以外の様々なもの(デモノハレモノ)が写りこんでしまうために、映像での論点がわかりにくくなってしまいます。しかし三次元CGなら最初から論点になる部分のみモデリングを行うことによって単純化・純粋化することができます。
単純化するための三次元CGは、論点のみを抽出してモデリングするためにコストも安く、コストパフォーマンスの高い利用方法の一つとしてデキサがオススメしている活用法です。
上記の写真は柔道の技を解説している映像作品の一場面ですが、実写では背景や人物が映りこむために伝わりにくい概念も、三次元CGを活用することによって、映像そのものを単純化し、概念を伝えるために必要な最低限度のもののみモデリングするため、概念が伝わりやすくなります。
また医学動画などの場合は血液や医療機器が写らないぶん、シンプルに要点のみを抽出して映像化できるメリットがあります。手術の術野などをカメラ撮影しても血液で見えにくく、医療器具も術野周辺に集まっているので判別が困難です。しかしCGなら臓器をシンプルに描き、色分けするなど抽象化することで見やすく描けます。
見えないものの映像化
カメラでは決して撮影することができない抽象的な概念を映像化することができます。
例えば生きているヒトの臓器の働きかたを可視化したり、量子力学など科学の分野において文字ではなかなか伝わらない概念を映像化するために三次元CGは効果的な表現手段となっています。
抽象的な概念を単純化することによって、直観的に理解しやすくなるため、短い尺の中で重要な要素を伝えるためには大変効果的な手法です。
空想上の世界観を映像化
映画のようなフォトリアリスティックによる三次元CGは、空想上の世界観や物体を実際に映像化することができるため、近年では映画には欠かせない表現手段となっています。実写では到底ありえない世界観を映像化するなら、三次元CGは欠かせない表現手段となっていますし、三次元CGの活用法としては、現在最も一般的な使いかたなのではないでしょうか。
映画のようなフィクション作品だけでなく、例えばバーチャルセットという方法で、CGによる背景の中に実写の人物を合成することによって、司会進行のシーンを構成する方法は、実物のセットを組むよりも安価に、視覚効果の高い演出が可能なため、実用映像の世界でも定着しつつある方法です。
また、工業製品のCGのように、まだ製品化されていないものを映像化することも可能です。
三次元CGの弱点/デメリット
一見万能に見えるCGにも様々な弱点があります。三次元形状を仮想空間上で制作し、それをレンダリングすることで可視化するという三次元CGの利点が、特有の欠点の元にもなっているのです。ここではそんな三次元CGの弱点についてご説明したいと思います。
断面の表現が苦手
特に「断面の表現」については、コストの割に効果が薄く、オススメできません。
三次元CGは文字通り「三次元」であることに特徴がありますから、本質的に「二次元平面」である「断面」の表現は不得手です。三次元CGを使って断面の表現をしようとすると、イラストと酷似してしまい、CGを使うメリットが無くなってしまうのです。
弊社では、こうした理由から三次元CGメインの作品であったとしても断面などの表現にはイラストを用いたアニメーションを挿入することで多くの場合は対処しています。
静止画制作が苦手
三次元CGは立体形状を仮想空間内で制作するため、「様々なアングルから撮影することができる」という利点があるので被写体を回り込むような複雑なカメラワークの動画を比較的容易に実現できる反面、「1つのアングルから見るだけならコストが割高になる」という弱点も持っています。つまり1つのアングルからしか見ないなら、立体形状をモデリングするより、イラストで描いてしまったほうが安価に済みます。
近年弊社で数多く手掛けている書籍用やパンフレット用のCGイラストですが、これらの制作には、実際のところ動画制作並に費用がかかっています。それでも「流行」「新しい表現」の必要性から、表現手法としての必然性や費用を度外視して三次元CGを活用しているのです。
三次元CGの活用はあくまで動画を基本と考え、静止画のレンダリングは動画用三次元CGモデルの流用、つまり副産物(オマケ)と考えることをお勧めします。