映像制作の現場からタイトル
2023/2/4公開

DNAの三次元形状モデルは良いものが無い

一般的なDNAのイメージショット用三次元モデル

間違いが多いDNAモデルの事例

医学・化学の世界の映像を手掛けていると、時にDNAやRNAといった遺伝物質の映像化が必要になることがあります。ところが、世の中に存在する三次元モデルというのは、「教育用」として作られているものか、「イメージショット用」として作られたものか、おおむねこの二種類しかないのです。
例えば右にあるようなモデルが、代表的なよく見るイメージショット用のDNAモデル。
私などが見ると、一見して生化学などの専門家が作ったものではないことがわかります。主溝も副溝も差別化されておらず不明瞭で、何が何だかわかりません。それにこのねじれの方向だと、逆のように感じますが、どうなんでしょうかね。普通は(B-DNAの場合)右に巻いていると思います。(このあたりは平たい&詳細な情報ですとコチラのページが最も参考になります)
右の三次元モデルは安価に売っていたので買ってみたのですが、もう修正するのも面倒なので、このままウチのウェブサイトのトビラに使ってしまっていますが、本来なら不本意です。

私たちは映像を作っているので、単なる教育用で「正確なだけのモデル」やイメージショット用の「安易なモデル」では映像に使うにはまったく役不足なのです。映像作品の元となる三次元モデルというのは、いわば「役者さん」ですから美しさも価値の一つです。と同時に、正確性も併せ持ってなければなりません。ところがこの両方を兼ね備えた、いわば「正確にその役になりきれる有能な役者」のような三次元モデルが存在しないのです。

DNAの現存CGモデルは帯に短したすきに長し

例えば教育用として作られている三次元モデルは、正確なのでしょうが、画にならない、ダサい、という感じ。三次元モデルの段階で色気が無くてもいいのですが、化粧をした時に色気を放つような三次元モデルであることは大切。ところがどう化粧しようが色気が出ると思えないモデルばかり。これは映像作品としては素材に使えません。

イメージショット用のものなどは、もはや論外の世界。単なる螺旋に階段状の棒が描いてあるだけの単純な画。これでは概要すら伝えられません。そこで、結局は自分で作ることになるわけです。

ここで左に御覧に入れているのが私が作ったDNAモデル。言ってる意味がご理解いただけるのではないでしょうか。
アデニン、シトシン、チミン、グアニンの四種類の塩基のモデル。そして糖やリン酸といったストランドを構成する要素。そしてこれらがどう立体的に組み合わさっているのか?という位置関係の問題。これらがまず正確であることが求められます。
それと同時に、色合いやテクスチャを変えることで、どんな演出にも耐えうる「化粧映えする顔立ち」であることが大切。
動画は動きがあってナンボですから、アニメーションをしやすい、つまり変形しやすいというのも大切。
これらの要素を踏まえて、これまでの経験からくみ上げたのが右のDNAモデルです。

正確で美しいCG動画

欧州やアメリカのメディカル系動画を見ていると、本当に美しいですよね。デザイン性という概念がしっかりある。
反面、なんで日本の学術動画っていうのは「野暮ったい」ものが多いのでしょうかね。理由はハッキリしているので言いたいのですが、反発する人もいるでしょうから言えません。このあたりがストレスなんですよね。

DNA、遺伝子、CG

弊社がモデリングしたDNAモデルを活用した映像作品の事例

さて、上記のレンダリング画像をご覧いただきたいのですが、これ、上の私のDNAモデルから作ったものです。こういう風に、どのような質感にでも、ちょっと色気のある映像を作ることができるのも、今度のモデルの良さみたいなもの。
このモデルを活用して、いろいろなお仕事ができたらいいですね。
応用編として、例えば…

RNA_ポリメラーゼ、RNApolymerase

RNAポリメラーゼがDNAからメッセンジャーRNA前駆体を作っているところをイメージ動画化しました

上記の画像はDNAからメッセンジャーRNA前駆体を作る「RNAポリメラーゼ」です。私が今年作った映像作品の中でも一番大きな作品からの抜粋ですが、DNAモデルの形がしっかりしていると、全体として何となく説得力がある映像になりますね。
弊社は今後も、こうした新規の正確かつ美しいCGモデルをモデリングしていこうと考えています。

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弊社デキサでは、テレビドラマ『トップナイフ』(主演/天海祐希)での医療CG制作など、多くのメジャー媒体で解剖を含めた医学系のCG制作を行ってまいりました。もちろん医薬品の作用機序CG術式CGも承っております。また医療機器のPR動画に使用されるCGもフォトリアリスティックな高品位かつ滑らかな表現で皆様の製品の魅力を最大限お伝えします。

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正確であることも重要ですが、視覚的な計算を行ったデザイン性に富むCG映像やイラストなら、より効果的に情報を伝達することができます。研究成果の拡散にぜひ弊社のCGをお役立てください。

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