映像制作の現場からタイトル
2019/10/18公開

世間は4K8K大合唱中

ウェブを検索してみると、世の映像制作業界は「4K!4K!」の大合唱中。ついには「8K!8K!」という合唱まで聞こえているような雰囲気。そもそも新しもの好きの業界なので「言葉先行」みたいなところはあるのですが、皆さんちょっと冷静になってみましょうね。

うちも4Kは謳っているし4K撮影機材も大変な投資をして買っている。ところが社長である私自身は実は4Kという存在そのものを、どこか宇宙の彼方の出来事のように感じているのも事実です。なかなか可能性は感じさせてくれてはいますが、いわゆる机上の空論的違和感をぬぐいきれないでいるのです。
その原因は簡単で、4K解像度を完璧に描き出せるカメラが「存在しているのかな?」という素朴な疑問があるからです。とはいえこれから書くことっていうのは、4Kの撮影機材メーカーさんの名誉のために言っておくと、かなりヘンクツです。とはいえ一理あるかも…くらいの感覚で読んでもらえたらいいと思います。

>>参考リンク~弊社の4K映像制作

実は限界があるカメラ撮影の解像度

電子撮像素子

35mmフルサイズ撮像素子。4Kならまだしも8Kではもう光学系が限界

カメラの撮像素子の画素数は、年々多くなっており、普及型の一眼レフでも2000万画素といった機種が販売されています。とはいえ、本当にその撮像素子の能力を100%活かせるかというと、レンズの製造上の精度や収差の影響、そしてエアリーディスクという光の回析現象によるレンズの限界があり、(ものすごく厳密な話をすると)もはや35ミリフルサイズ撮像素子となると、レンズが描写できる解像度より撮像素子の解像度のほうが高いという結果になります。(※注1)
同じように最新の4K動画カメラの場合、35ミリフルサイズ撮像素子より小さい「スーパー35ミリ」の撮像素子の中に830万画素という膨大な数が並んでいますので、やはりレンズの収差や回析の影響によって「完全な4K解像度」を出せるかというとまた別の次元の評価となります。さらに言えば一枚の撮像素子からカラー信号を得るとなると色フィルター(ベイヤーフィルターなど)を使うことになりますので、輝度に比較して色の解像度は落ちる傾向は否定できません。

>>参考リンク~弊社の4K撮影用機材

>>参考リンク~4Kフォーマットの解像度

こう考えると、確かに4Kでのカメラ映像というのは実際に「うわーーーーーキレイ」って言いたくなるほどキレがあって美しく見えるし、記録するフォーマットの階調が多いから「深いねーーー」と感じる説得力があるのですが、その本来の性能が出ているのかな?という目線で言うと、「屁理屈」で言えば物理的限界に近い感じがしてしまいます。

最大5億画素!高解像度に強い三次元CG

カメラに関しては、上記の理由から、どうしても今の光学系の収差などを考えると4K解像度を真の意味で使い切ったカメラなんて、そんなに簡単に作れるはずがないと思うその反面で、実は純粋にコンピュータで描き出すCGは4Kや8Kみたいな高解像度が得意です。

RNA_ポリメラーゼ、RNApolymerase

実際にIMAX®での上映も視野に8Kという膨大な高解像度でレンダリングした作品の例

映画の背景に使われるCG素材などはすでに4Kが部分的に使われていますが、レンズや撮像素子といった光学部品の分解能や解像度の物理的・技術的限界の影響を受けないCGは、理想的な4K画質を一番簡単に実現することができる唯一の手法と言えるでしょう。

確かに輪郭の曲線がどこまで正確に描けているか?などCGにはCGなりの弱点もあるのですが、それでも解像度は圧倒的です。

必要とあらば5億画素といった高解像度を出力することができるため、様々な実験検証用の動画素材や、4K・8Kといった高解像度フォーマットののデモンストレーション映像を作るなど、多くの活用法が考えられます。
特殊な用途ではありますが、私が思うに、完全かつ機械的に解像度を保証できる素材の入手方法はもはやCGしか無いと言っても過言ではないのです。

>>参考リンク~弊社のCG制作

4K/8K解像度でのCG制作

AMD_threadripper2990wx

高速かつメモリチャンネルの大きいCPUの登場が4KCGを現実的に

ウチの会社ではHDの数倍の情報量を持つ高い解像度でのCG動画制作も承っております。以前からソフトウェア上は大解像度レンダリングが可能でしたが、レンダリング時間を考慮すると現実的ではないという状態でした。しかし、CPU性能の著しい向上があり、今では比較的ストレスなく4K/8Kの動画ファイルを描きだせるようになり、コスト的にも現実的なものとなってきました。

試験用・評価用の素材として「完全な4K・8K」の動画素材が必要な場合、ぜひお声掛けいただきたいものですね。フルCG作品とか好きにやれるような作品あったらぜひやってみたい。

せっかく4Kなど高精細映像を作るのですから、徹底的にこだわりぬき、美しい映像を作りたい。特にテクスチャデータは高解像度でレンダリングすると粗が目立ちやすいので、弊社は多少レンダリングが重くなったとしても正味で精細感が出る大きなサイズのテクスチャを使いますし、メモリの限界ギリギリのところで精細度の限界を見てみたいものです。

>>参考リンク~4KによるCG制作

4Kや8Kだからといって数倍かかるわけじゃないCG制作費

大画面シアターでのCG作品上映では解像度が上がる事でCG制作費はどう変わるのでしょうか?
基本的には物理的に4Kや8KのCGを作る際に作業手順に違いがでるのは「レンダリング工程」のみです。レンダリングは完全に機械まかせの作業ですから、「解像度を4Kに設定してスイッチポン!」で済む話なので、値段は基本的にレンダリング用ワークステーションの利用時間分の増額程度で終わるはずです。現に通販のCGのような単純なものなら、普通の地上波テレビ番組向けのCGと値段は変わりません。ところが、8Kなど高解像度を活かした本当のクオリティの高い映像を作るとなるとまた話は別。IMAX®シアターでしょぼいCGを見たくないでしょう?我々だってデカいスクリーンで上映するなら、本当に美しい、ハリウッドに負けないクオリティをお客さんに体感してもらいたい。
そうなるとモデリングの精細さもかわってきますし、光の設定もかなり複雑になるでしょうし、テクスチャももっときめ細かく貼りつけるでしょうし、レンダリングの品質だって、計算時間度外視でクオリティを優先するでしょう。こうなるともう、一般的なCGに比較して数倍の費用がかかると思います。映画の背景CGを作るくらいのコストでしょう。

>>CG制作のコストの一般論

でも、もしコストをある程度かけても本当にクオリティの高いCG動画を作りたいということなら、いつでも相談してください。例えばIMAX®のような高品位シアターを前提に、映像以外にも音響も多チャンネルでのサラウンド超立体音響までご提案申し上げます。きっと、気に入ってもらえる提案ができると思います。

>>MA・音響制作

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※注1~35mmフルサイズの2200万画素クラスのデジカメの場合、一つの画素のピッチが0.006mmです。これは露出F8時の回析によって生じるエアリーディスクの直径(計算による可視光の理論値で0.0049mm)とほぼ同じ値となっています。つまり製造上の公差0という理想的なレンズであっても2000万画素クラスでは限界に近いという結果となります。

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