2020/12/29公開
増え続けるCG動画制作の需要
最近、CG動画をパーツとして編集し、映像作品を制作することが多くなりました。例えば交通事故や工場での事故事例紹介。そして商品PRなども、今はほぼ撮影を行わず、商品カットまでCGで作ってしまうという感じです。
理由は簡単で、新型コロナが蔓延したことで「多人数が集まるロケ」が行いにくくなっているからです。ロケを行う弊社のような映像制作会社の側としては収入も減ってしまうので、ぜひ安全対策を講じた上でロケを行いたいところですが、お客様であるクライアント企業の側からしますと、やはりこういう時期にロケを大々的に行って、何か指摘を受けてしまうと社会的に体裁が悪いという事情はよく理解できます。そこで私たちがおススメしているのが、CGを活用した社員教育動画の制作です。
弊社の場合は映像制作会社でありながら自社でCG制作部門もあるため、制作とCGの両部門が同時に動くことで、自社の中でCGを活用した映像制作を、しかもフルCGで行う事ができてしまうのです。これならロケは不要です。さらに言えばリモートでの作業も行えますのでクライアント様にとっても安全かつ安心な手法ではないでしょうか。
こうしたフルCG作品というのは、以前から高予算の映画や映像作品においては行われていましたが、今はコロナの影響による消極的理由からの採用なので、予算はあまり高くない作品でも似たような手法をとることが多くなっています。
社員教育へのCG動画活用がトレンド
例えば最近のトレンドでは、マナー教育や安全教育など社員研修教育動画の分野でもオールCGというスタイルの作品が多くなってきているということです。
教育動画の分野はこれまでCGがあまり使われることがありませんでした。予算が安価ということもあり、実写で講師が実現するなど、撮影オンリーで済ませてきた傾向が強い分野です。こうした分野にもCGが使われ出したというのは、CGのコストが下がってきたこともありますが、大企業さんが社員教育動画の制作に力を入れる必要性に迫られているという状況が強く影響しているように思います。
何せワールドワイドに展開する大企業で、すべての工場や営業所で自社の信念を一貫するというのは大変です。講師を各所に送っていては時間がいくらあっても足りませんしお金もかかる。ということで動画を活用して一気に統一したセミナーを行ってしまおうという考えでしょう。実際にリアルな講義の手間が無くなる分の予算を動画に回せば、かなり水準が高い動画を作ることができます。その上、編集を経た動画の場合、不要な部分はカットされ、必要な情報に時間を計算しつつ重点的に回すことができるので、スマートな講義を行うことができるのです。これは動画での社員教育の一番のメリットではないでしょうか。
CGは撮影が無いのでコロナウイルスに影響されない
CGを多用した動画の制作となれば、最近のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の危険性も減ります。撮影のような「三密」の現場は私たち映像制作のプロでも避けるべきものとして自粛しておりますので、できることならCGでできるものはCGにしてしまいたい。
しかし、お客さんとしては心配なのが「予算」でしょう。どの程度の予算を用意しておけば足りるのか?出来れば安価にCGを活用できたら皆さん嬉しいはずです。そこで今回は安価にCGを使った動画制作を行う方法をプロの立場からアドバイスしてみたいと思います。
CG制作費を安価にする方法
CGを活用した動画を制作するための費用を効果的に低減するための方法はいくつかあります。ここはCGを活用した動画作品の制作のプロとして、まとめてご紹介してみたいと思います。これらを守っていただくだけで、かなり費用を圧縮できますし、見積金額も変わってくるはずです。
本数をまとめる
まず、本数をまとめることです。CGを多く使う動画ですと、編集やナレーションまで入れて完パケにすると、3分の場合1本ですと弊社の場合100~150万円はくだりません。場合によっては200万円をこえる場合もあるくらいです。
商品PRなどであれば広報手段ですから効果的な映像を作れば利益も見込めるため看過できる金額でしょうが、社内だけで使う社員教育動画にこの金額は高いと思われるでしょう。なら、3分×10本で500万円、1分×30本で600万円などと、本数をまとめて一気に発注してしまうのです。1本あたりの単価は本数が多くなればなるほど下がります。
打合せやスケジューリングなど制作進行の手間、調査にかかる手間などは1本でも10本でも正直あまり変わりません。ところがこうした事務的な打合せも、制作会社からしますと結構なコストがかかる仕事なのです。なら同時に制作現場を動かす本数をまとめてしまい、一気に制作を進めてしまうのです。
一気に複数本を進めれば、それだけ現場の効率もよくなりますので、結果としてお金の節約になるのです。さらに映像のデザインも共通性が高くなりますし、クオリティも一様に平らにできるので見やすい動画になることが多いです。映像だけは、スケールメリットが如実に出るので、ぜひ試していただきたい方法です。
実際、弊社のお客様で資金に余裕がある場合は、こうした方法でコスト削減を行う会社さんが多いです。社内教育用の場合、1つの項目で作ることはありません。動画が必要な項目というのは最低でも10個くらいにはなるでしょうから、その10コーナーをまとめて制作したほうが最終的にお金がかからないという判断です。
内容に関する責任者と直接連絡
実はディレクターなど映像の演出家にとって、一番手間がかかるのが情報共有のための手間です。間に事務員さんが一人入るだけでも、映像の中身を確認するための書面を作成する必要性が生じます。この書面の内容は実際に決定権者の方に言葉で説明したり相談したりのほうが細かく煮詰めることができますしわかりやすいのですが、一人、間に入るだけで伝言ゲームのような様相となりますので、誤解を防ぐために書面の内容をかなり高度に吟味する必要が出てくるのです。こうした手間にかかる人件費は映像作品の制作費に当然のことながら含まれます。
そこでクライアント様にお願いをしたいのは、できるだけクライアントサイドの決定権者と私たち映像制作スタッフとの間に人を介在しないことです。
実はテレビの制作現場では、この伝言ゲームが大変な問題となっています。弊社は在京キー局の番組にCG部門として参加することが多いのですが、局の制作ディレクターは近年ではフリーランスが多く、複数の局や番組を掛け持ちしているため時間も無く、なかなか直接私たちとやりとりをしようとしません。私ももともとディレクター/プロデューサーで、テレ朝、日テレ、フジテレビなどで演出や制作の進行業務を行っていたのでよくわかるのですが、ディレクターは掛け持ちをしてナンボの商売です。1本の作品にベタでついて演出できるなんて幸せなことはそうそうありません。一つの番組で放送回一回あたりのギャラは現場のコーナーディレクターで15万から40万程度。放送回一回あたりゴールデンなどの場合は下準備から放送まで二か月はかかるので、最悪二か月で15万円(ゴールデンの場合はここまで安価はありませんが最悪という意味で)というギャラになってしまいます。そこで数をこなして生活できる収入を確保するのです。当然、ディレクターは番組ごとの技術スタッフや美術スタッフを把握しにくいので、関係各所への連絡などは番組にベタで張り付いている番組付のスタッフが行うことになります。それがディレクターの部下にあたるAD(アシスタントディレクター)です。
私たちがCGのスタッフとして参加している番組の場合、ディレクターの部下であるADからの連絡でCGを制作しています。ところがADは映像業界での経験がまだ1年や2年という素人です。実際に番組制作を行っているディレクターの意図を完全に理解しているとは思えません。そして実際に間違った指示が飛んできて作り直しなどの二重三重の手間がかかり、これがコストを上げてしまう根本原因となっています。
テレビ業界の場合は上記のようにかなり経済的に厳しい状況があるため難しいですが、ある程度の規模の企業様なら状況はもっと良いはずです。ぜひ、動画の内容について最終決定権を持つ方と、もしくはそこになるべく近い方を窓口にしていただくだけで、作り直しの手間が減り、コストが大きく下がるということは念頭に置いていただければと思います。
作風演出を弊社に任せる
続いては作風について。これはクリエイターとしての性分の話ですが、自分の得意な作風で攻めるほうが映像制作は面白いですし、クリエイターとして興味を持って制作にあたれます。もちろんお仕事ですからお客様がいるわけで、お客様の御希望はかなえるようにしています。とはいえ、映像制作というものはクリエイティビティや創造力のようなものが必要な仕事で、ともするとスタッフのやる気次第で結果は大きく変わります。
私自身、ディレクター(監督)として作品制作にあたる際は、それぞれの分野のスペシャリストであるスタッフの皆さんのクリエイティビティを最大限発揮できるよう気を遣っております。とはいえ昔は私も若かったため、自分の方針を絶対的に曲げないという方針で制作を行ってきましたが、ある作品を境に、この方針が間違いだということを知りました。自由度が与えられた中でなければ、クリエイターが自己の能力を100%発揮することはできません。その事に気が付いてからというもの、いかにして各部門のスペシャリストの方々の意向をくみ取りながら、自分の望む方向性に大筋で合致しつつも、さらにスタッフの方々が持つ創造力を上乗せした形で作品を高みに昇華させられるかを考えるようになりました。ですので、ぜひ各分野のエキスパートであるスタッフの創造性を否定するような言動は現場を壊しかねないという危機意識をお客様とも共有したいと思います。それが結果として「コストの割に良い映像作品」を作るためのコツの一つでもあると思うのです。
完成している品物を買うだけなら、お客様は神様です。とはいえ「これから作るものを買っていただく」という性質が強い映像制作の場合、お客様は一緒に映像を作る仲間であり、スタッフのようなものなのです。
ここはぜひ、スタッフの一人として参加するつもりで一緒に映像を作りましょう。
弊社ならほぼテレワークのみで映像を制作できます
CGがメインの動画であるなら、ロケがありませんので、弊社ではほぼテレワークのみで制作することが可能です。多少規模が大きな案件になってもビジネスパートナーである他社さんとソフト環境まで統一し、ビルディングブロック形式で動くことができますから、CGを多用した動画であったとしても大変効率よく複数本の動画を短時間に制作することができるのです。
また、多少のロケがあったとしても弊社では医療系映像を多く制作している関係で、日本の映像制作会社でもトップクラスの衛生管理を行っているため、感染の危険性を減らした上で必要最小限度の人数でロケを行えます。この衛生管理レベルの高さとCGの組み合わせは絶妙です。CGで可能な限り画を埋めると考えれば必要な実写動画素材も減り、その分ロケの時間も短くできます。上手にCGを交えつつ、ロケの時間を減らし、可能な限り安全に映像を制作する手段を弊社は前向きに推進してまいりたいと思っています。
まとめになりますが、とにかく本数を一気に制作することでスケールメリットを活かしつつCGのコストを下げ、CGをうまく活用することでロケの分量を減らしてリスク回避を狙う。そんな理想的な映像制作の形を、ぜひ皆様にご提案申し上げたいと思います。