映像制作の現場からタイトル

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2023/5/21公開

歴史に残るG7お疲れ様でした

今日は広島でのG7サミット最終日でした。ウクライナのゼレンスキー大統領も来日し、拡大会合ではインドを含むグローバルサウスをとり込む努力を行うなど、G7という枠組みを超えて、価値観を共有できる国が集まり、それを確認した歴史に残るサミットとなったのではと感じています。
成果としては中国やロシア、北朝鮮など西側とは立場が異なる核武装国に対し、明確なメッセージを送れたのではないかと感じました。こうした力による現状変更を是とする覇権主義の台頭に対して、有力な国の代表が集まり、戦争当事国でもあるウクライナの大統領を迎えて共に牽制することができたのは、すばらしい成果だったと思いますし、歴史の転換点となるサミットだったと感じます。
日本としてはウクライナに対するロシアの核攻撃もさることながら、中国や北朝鮮が日本に向けている核の脅威に対する牽制を意識していたはずです。今回、ヒロシマという場に集結した主要国の結束を見せつけることが、日本を含め世界の安全保障にとってどれだけ大きなインパクトがあるか?コスト以上に得られるものが多かったサミットだったと思います。
政府や外務省の方々、警備にあたった方々、そして交通規制されるなど生活に影響が出ていたであろう広島の方々も、本当に大変だったのではと思います。心から「おつかれさまでした」と言いたいです。

余談ですし、メディアではあまり取り上げられませんでしたが、時を同じくして中国と中央アジア5か国が集まり西安サミットが開かれていました。つまりG7を伝統的な工業国の海洋国家の集まりとすると、西安サミットは大陸国家の集まりだったという事です。大陸国家が旧シルクロードの終点である西安に集まり、今年で10周年を迎える一帯一路をより強固にするための会合と見ても良いでしょう。
一帯一路は大陸(ハートランド)を横断するだけではなく、日本も含めて大陸沿岸部の海洋国家(リムランド)をとり込もうという極めて野心的なものですが、今回の広島G7サミットにリムランドに含まれる多くの国が集まったことで、事実上、一帯一路の海への進出の可能性は低くなったと見て良いと思います。

核廃絶に直結する成果が見えないとして「何のための広島サミットか?」と悔しい思いをしている方もいるようですから、その立場にも寄り添えたらとは思いますが、さすがにG7が集まって「今日から核は全部やめね」となるはずがないので、現実的な落としどころになったと思いますし、明らかに核の脅威への牽制はできていると思うので、一定の成果はあったのではないでしょうか。

とはいえ、また記者会見での記者の発言について一言触れなければなりません。記者さんの発言については前回、通信社の記者がH3の打ち上げ中断を失敗と断じた件以来ですが、今回のG7終了後の岸田総理の記者会見で、記者が発した「逃げるんですか?」発言もまた、さすがに行き過ぎた発言だったと思います。

逃げるつもりなどさらさら無かったはずですが…

今回の議長国である日本の代表として、岸田総理が会見を行いました。会見は質問を含め30分間を予定していましたが、岸田総理は4人の記者の質問に答え、40分が経過していました。で、切り上げようとしたところ、核軍縮ビジョンについて答えろと、オフになっているマイクでも聞こえるくらい大きな声で叫ぶ記者がおりました。もう会見は終わったので岸田総理はもう壇を降りようとしていたのですが、その記者が「逃げるんですか?」と言ったため、総理はすっと踵を返し、またマイクの前に戻り、この記者の質問に答える形で核軍縮への強い意志と広島アクションプランというビジョンについて語り始めました。

>>参考リンク◆「逃げるんですか」の声に、首相が記者会見再開~G7サミット

中継でリアルタイムで見てましたから、この岸田総理の様子を見て、私個人としては「さすがだな」と岸田総理への認識を改めました。外交では安倍元総理は別格と思っていましたが、今回のG7サミットの出来栄えは、まったく見事でしたから、岸田総理の外交上手には驚かされたというところです。
と同時に、この「逃げるんですか」発言をした記者に、「さすがに失礼なのでは?」という思いを持ちました。
そもそも、総理に「逃げる」という意識があったでしょうか?私にはそうは見えませんでした。それなのにこの記者さんは「逃げる」という悪意に満ちた言葉を投げかけたのです。そもそも、これが記者として正しい姿勢なのでしょうか?結果として、この記者の質問には答えたわけですから、総理本人に逃げるつもりなど全く無かったことが証明されたわけです。それを思い込みで「逃げた」と思い、そう言葉を発したのは、思い込みや勘違いを排除しなければならないはずの記者という職業に就く者として、おかしいのではと感じる次第です。

ニュートラルな立ち位置こそメディアのポジション

まず、悪意がある段階でニュートラルな立ち位置に立っているとは言い難いと思います。本来なら大量殺りく犯に対してすら、メディア人はニュートラルな姿勢を貫かなければならないはずです。冷静に客観的に、順番はどうだかわかりませんが、「平等・公正・公平」な姿勢で事実を伝えることこそ、本来求められる仕事のはず。
ものごとの善悪は絶対的なものと相対的なものがあり、立場によっても変わる事がありますので、その判断は受け手である視聴者や読者にゆだねるのが最も適切な姿勢だと思います。とにかく客観的に情報を整理整頓して伝えることです。最初から決めてかかっては負けです。

ということで、今日、「逃げるんですか?」と問いかけた記者さんは最初から「総理は逃げるような人なんだな」という決めつけをしている段階で問題があると思います。ところがですよ、岸田総理はこんな失礼な記者の行為に対しても、広い心で対応し、自分の核廃絶への想いやヒロシマ・アクション・プランという核廃絶の理想を追い求めるプランの説明を丁寧に3分30秒にわたり行ったのです。

3分30秒の誠意

私はこの核廃絶への想いとプランを語った3分30秒は、岸田総理の誠意の現れと受け止めました。たとえ行儀が悪くても、記者がどうしてもといって聞いてきたことだから、それに対して誠意をもって応えてくれたのです。つまり、岸田総理が見ているのは、目の前の行儀の悪い記者ではなく、その記者の後ろにいるすべての国民なのだと思いました。総理は、すべての国民に対して、ヒロシマ・アクション・プランを説明し、それがG7各国の同意を得たという事実を説明したのです。
つまり、投げかけられた悪意をコロッとひっくりかえして総理や政府、そして自民党にとってのメリットにしてしまうあたりはさすが総理大臣。「うまいな」と舌を巻きました。

さて、私にはこの行儀の悪い記者さんがどこの報道機関の方か知りません。何度会見の様子をVTRで見ても、ちょうど会見が終わろうとしていた時でしたからマイクもオフで、記者の言う事は部分的にしか聞こえません。もちろん名前を名乗っていたのかもしれませんが、他の正式に指名を受けて質問した記者さんたちと違い、この行儀の悪い記者さんの名前は聞こえません。しかし、この記者さんには、せっかく3分30秒も使って質問に答えてもらったのですから、当然のことながら、記事にする責任というものがあると思います。

はてさて、質問の方法はさることながら、ちゃんと平等で公正公平な記事になっているか?見ものではあります。

メディアは信頼回復の努力を

今日は、岸田総理の会見を見ていて、この最後の記者の失礼さに、ほとほとガッカリし、ウンザリする想いでした。
「こんなことやってるからマスゴミって言われるんだよ」と思います。先日のNHKの捏造報道などは論外ですが、やはり記者会見での質問のしかたなど、品位というものがあるはずです。

メディア人は活動家ではありませんし、正義の味方を気取った自称ヒーローヒロインでもありません。事実を淡々と伝える立場です。正義なんて、何が正義か?誰が決めるのですか?読者や視聴者に事実を投げかけて、それを判断してもらったら良い。視聴者や読者である国民を信じるとは、つまるところ、こういうことなのだろうと思います。

確かにメディアには「権力監視」という役割がありますが、何が何でも権力を悪と決めつける必要はありませんし、そうした決めつけはメガネを曇らせます。色眼鏡で眺めていることは視聴者や読者である国民に見透かされます。それが信頼を失う原因となり、このままそれを続ければ、取り返しがつかないところまで行くことでしょう。
そうしてメディアが無効化された時、もし本当に権力の座に悪が座ったら、どんなことが起きるでしょう?だからこそ、今のうちに、メディアは信頼を取り戻すよう努力をすべきなのです。
今日、失礼をした記者さんも、とにかくそう熱くならず、冷静にお仕事をお願いします。我々メディアの末席にいる者に手本を見せてほしいです。今後に期待します。

科学や医学を扱う映像も同じ

ところで、映像制作の話になりますが、冷静に事実を淡々とつなげていくという考え方は、サイエンスやメディカルの映像を制作する際にも通じる考え方です。これらは学問ですから、学者先生と同じくデータという極めて客観的なものに裏付けられなければなりません。思い込みや誘導があった瞬間に、こうした学問に通じた人には見透かされます。
私らも常に、メガネを曇らせず、色をつけず、まっすぐに対象を観察して映像にします。そうした姿勢こそ、社会に貢献できるものと信じています。

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