映像制作の現場からタイトル
2020/10/10公開

コロナ時代における研修動画制作の重要性

ロケ現場写真

新型コロナの流行は社会の在り方を根底から覆してしまいました。これまでの仕事の方法論では通用せず、新しい働き方を模索する動きが広がっています。
大きな影響を受けているのが研修などを仕事として行っている業種の方々です。これまでであれば実地で指導者・講師の方々と受講生が直接技術を伝達できたのですが、ソーシャルディスタンスの重要性が唱えられるようになってからというもの、狭い教室や実地で講師と受講者が手とり足とり教えるということができなくなってしまっています。

そこで苦肉の策としてではあるのでしょうが、基礎知識の部分だけでも動画によって情報伝達し、オンライン上で研修を行うことで可能な限り接触機会を減らす動きがトレンドとなっています。
こうしたお客様から私たち映像制作のプロの元にも一日に数件のご相談が舞い込みます。医療や医学、介護業界、漁業関係など分野は幅広く、こうしたお客様からのお話をうかがうと、その事態の深刻さは私の想像をはるかに上回るものでした。

研修動画を制作するための第一歩

私のところにご相談いただく際、皆さん一様に気になさるのが「映像はお金がかかるのでは?」という予算面での心配です。

私はこの業界に長年生きておりますので、業界の底まで理解しています。ですから「思ったより安価に作ることができますよ」などという軽口をたたく気もありません。正直に「ある程度の予算は必要です」と答えるようにしています。ではその「ある程度」とは一体どの程度なのでしょう?

映像の世界ではデフレは起きていません。むしろ昨今は物価が上昇しておりますので、デフレが起きているのはテレビ業界くらいです。リサーチ力勝負の研修動画やマニュアル動画の需要は増えていますので、一般的には一年で10%程度見積金額が上がっています。(※2022年以降はもっと見積が上がっております)
もちろん需要増加を見込んで新規参入の会社も多いですが、新規参入の会社は自社制作能力に欠けているので外部のプロや私たちのような生粋の映像屋に丸投げすることになります。つまりプロの作り手は増えていませんし増えません。限られた人材を奪い合う形ですから値段は上がる一方です。

映像を制作する会社は玉石混交です。新しい会社で仕事を取りたい映像制作会社(つまり需要増を見込んで新規参入してきた素人さん)ですと、コース料金のようなものを設定して「30万円コース」「50万円コース」などとウェブサイトでも書いています。お金をかけたくないお客様からすると、こうした表示方法はわかりやすく好評ですが、このコース料金は最低費用という場合が多く自由度がかなり制限されます。
例えば見積の中に含まれる項目と少し違うことをしたり、途中で少し修正を加えただけでも修正費用が加算されますので、結局のところ高くつく場合が多いように感じます。
正確に言えば法的にも見積書やサービス内容紹介が価格の根拠となりますので契約書を交わした段階、ないしは発注書を出した段階で与えられるサービス項目に了承したことになりますので追加料金は避けられません。
実際制作が始まってみると、お客様も私たち制作側も、いろいろ足りない部分に気が付いてしまうものですから、当初予定していたよりも映像の仕様が上がってしまうことがほとんどです。オプション金額が上に加算されていき、結局コース金額で済むことは稀です。そして「話が違う」と感じたお客様が色々と勉強して今度は私の会社にご相談に見えられます。

映像というのはすでに100年の歴史があり、日本で映像制作を専門に行う会社が生まれてからすでに60年もの年月が経っていますが、コース料金などわかりやすい金額設定ができるのなら、もうどこかがやっていたはずですし、やってみてもうまくいかないので結局淘汰されてきたという歴史があるのです。
映像は作るたびにネタも違えば顧客の好みも違いますので、居酒屋の宴会のようにコース料金など設定できるはずがないのです。

映像制作という仕事は一期一会です。毎回「はじめての経験」の繰り返しです。
研修動画を制作する場合、マナー教育であろうが看護技術の衛生管理教育であろうが、店舗での接客サービスマニュアルであろうが、まずは私たち映像制作者がそのポイントを十分に理解・把握を行い、その基礎知識を伝わりやすい説明手順に置き換えて台本にする必要があります。これだけでも毎回新しい分野の勉強をするわけで、頭脳労働としてはかなりの重労働で、とても一日で軽く書くというレベルではありません。
もちろんVTRで実演していただく講師からも聞き取り調査をしますが、それですと一方的な情報になってしまう危険性がありますので、私たち映像制作者は他からも情報をかき集め、山のような資料や論文を読み解き、業界全体を俯瞰で眺められるところまで勉強してから講師の方の言いたいこと、伝えたいことを台本の中にまとめ上げるのです。そのリサーチの中で、お客様からご提案いただいた項目の変更を提案することもありますし、動画として成立するよう細やかな調整を行い、実際に映像作品になった時に一番見やすい形に整えていくのです。
こうした「リサーチ→構成台本制作」という流れは一般的なテレビ番組の制作とほぼ同じ工程です。私個人はテレビ業界でディレクター/プロデューサーを長年やっていましたので慣れてはいるのですが、例えば『あるある大事典』『たけしの万物創成記』といったゴールデンアワー番組での私の経験では、制作工程のうち、一番労力がかかるのがリサーチであり台本でした。
二人程度のタッグでリサーチと構成台本を作成するだけでも二週間程度は普通はかかりますので、ちゃんと仕事をすれば結構な金額になることはご理解いただけるかと思います。
最近のテレビ番組の内容が浅く見えてしまうのは、こうしたリサーチ段階でコストをかけられなくなってしまっていることが大きいように感じます。

また、研修動画となれば、パラパラ漫画のような簡単なアニメーションでお茶を濁すこともできませんので、どうしても撮影が必要になります。講師の方の実演を撮影し、その実演を補完する意味でイラストやCGのようなグラフィックを使って情報を違う角度から説明しなおして視聴者である受講者にポイントを印象付けるのです。この撮影段階で講師の方とコミュニケーションを密に取ると、講師の方も実際に演じてはじめて「伝えるべきポイント」に気づくということも実際多く、撮影の途中で台本がひっくり返ることは日常茶飯事です。そのたびに台本にも微修正が加わります。つまり実制作の段階でも細かい軌道修正が加わるのです。
講師の方も講義は慣れていても撮影されることに慣れていません。ですから普段の講義より慎重に実演を見せてくれるのですが、その時にはじめて自分の実演について真剣に考えることもあるようです。

こうした流れを理解していれば、いかにコース料金というものが机上の空論であり素人発想かがわかります。

研修用動画の見積事例

私たちの場合は、見積段階でギリギリの料金を提示することは稀です。少し多めに金額をお伝えし、その中で何とかまとめるような方法を取っています。
以下によくあるパターンを元に、実際の制作費の実例をご紹介したいと思います。

●3分コーナー×8本

コストパフォーマンスに長けるのが、この位の分量です。
映像制作で一番費用がかさむのがロケですが、ロケの費用というのは移動を含めて日数(8時間を基本とする)とカメラ台数で計算で請求するのが一般的です。ですから丸一日で撮影できるギリギリの量を使い切るつもりで撮影を行うことが、コストパフォーマンスを上げる一番の方法です。
とはいえロケの場所を一か所に限定したとしても、一日で全部撮影を済まそうとすると8項目分の実演シーンを丁寧に撮影したらいっぱいいっぱいです。
もちろんうちの実績としては一日で30項目を撮影したこともありますが、これはもう私たちが何度も扱ったことがあるような得意分野の話で、安全マージンを確保すると、一日に8項目以上を撮影しようとすれば「クオリティはそこそこになりますよ」という前提付きとなりますので、弊社をご利用いただくような一流企業様にはお勧めはできません。
よほど付き合いが長く、弊社がOKを出すレベルがどの程度の水準かをご理解いただいた上で「少し乱暴だけど冒険してみようか?」ということなら良いのですが、初回のお取引では弊社も冒険は避けたいところです。もし8項目以上の規模を撮影して編集しようとするなら、後で説明をいたしますがロケ日数を増やして対応するようにしたほうが無難だと思います。
さて、1日のロケで撮影し、3分程度までの動画8本の編集を行い、必要なグラフィックワークを施して、ナレーションなど音も含めてMAをした場合の金額ですが、およそ200万円から250万円の間と思ってください。カメラを一台増やして二台体制にすると、プラス20万から30万程度です。カメラ一台にはカメラマンだけでなく演出スタッフも同行します、その上編集の工数もカメラが増えることで大変になりますので、その分も考慮する必要があります。
上記のような考えから、お客様にはまず250万円程度、最低でも220万円の予算が捻出できるようにご用意いただき、実際の制作に入ることをお勧めしています。

また、英語ナレーションを入れるなら、ちょっと覚悟が必要です。分量にもよるのですが、3分×8本=24分ですからナレーション原稿の分量としてはA4で12枚程度になりますので翻訳やナレーター、そして収録するスタジオ費を考えると50万円から70万円が加算されると思っていただければ足りるかどうかという金額がかかります。
英語翻訳はかなり安価になってきているのですが、それでもかなり高額です。論文の翻訳をする人はたくさんいるのですが、ナレーション、つまりアナウンス言葉を扱える翻訳家がいないので、限られた人材の奪い合いです。
英語ナレーションは需要が増えており昔より高くなっています。適当なナレーションで良いならそれでもかまいませんが、ある程度マトモなナレーションを入れるとなると、相応にナレーターの料金がかかります。24分のナレーションを収録するとなると打合せも含めて3時間は拘束することになりますので、これだけでも20万円近くかかってしまいます。私個人の意見としては、ナレーターのプロダクションが少し安価に提供してくれたら仕事の量も増えるでしょうし利益になると思うのですが、なにせ人材に限りがあり、その奪い合いですので値切ろうとするとプロダクションに嫌われてしまう危険性がありますので、そちらのほうが私は怖いです。

>>映像制作費用/料金/相場について

●3分コーナー×16本

さて、こちらはロケを2日に設定した場合の金額です。基本的な考え方は上記で説明した通りですから値段だけ記しますが、目安としておよそ320万円から400万円の間とお考えください。
ロケが2日になると宿泊費などが発生する可能性はありますが、このあたりはご相談でしょう。
最低でも300万円程度はご用意いただき、話を進めるようにしたほうが無難です。編集についてはある程度ひな形ができるでしょうから、それに則ってつなぐので、本数が増えても料金的には工数が増える分をご負担いただければ良いと思いますので1本あたりの料金は減る傾向にあります。一番大きいのは台本を書く料金、そしてロケの料金とナレーションの料金となります。

>>映像制作費用/料金/相場について

●CGが必要な場合

CG背景合成グリーンバック

弊社の場合は自社でCGを制作できますので、簡単なCGは編集作業の中で料金の範囲の中に収まるように制作して、お客様から言われなくても入れております。つまりお客様からご提示いただいた金額の中でバランスを考えて制作するということになります。
簡単な概念や考え方を伝えるためのCGであれば、それ自体に監修が必要ということではありませんので、コストがかさむ可能性は低いからです。
とはいえCGをメインとするような、繊細なCGを制作する場合は別途CGの料金が加算される場合があります。これはご相談となりますが、ある程度予算を決めたら、その中で私たちにお任せいただいたほうが安価に済みますし、必要にして十分なクオリティは確保しますので、信用してプロに任せるという心構えでいてもらったほうが良いと思います。
私たちデキサの場合は在京のキー局すべてに出入りしてお任せいただいていますし、上場企業の研究機関様から直接CGメインの動画コンテンツ制作を請けている会社ですから、安心してお任せください。

>>CG制作の費用について

詳細はお電話を

さて、ざっと駆け足で研修用の動画コンテンツ制作にかかる費用についてご説明してまいりました。
詳細は個別に電話にてお問合せください。電話でお答えできる範囲はお答えしますし、それで不足なら出向いて説明いたします。

最近は映像の料金は新型コロナの蔓延によりオンライン教材制作の需要が増えていることもあり需給バランスが崩れてしまったためインフレ傾向です。私たちの会社は制作・撮影機材・編集・CG制作を賄える総合プロダクションですから自社で請け持つ範囲が広いのでインフレに影響を受ける範囲が小さいのですが、それでも人材の奪い合いで勝ち抜かなければならない分野もありますので若干の影響は受けています。まずは概ね250万円~300万円程度の費用枠を確保していただき、その中でできることを一緒に模索するような方法が望ましいかと思います。

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