映像制作の現場からタイトル
2020/12/30公開

筋肉CGイラストがライフワーク

私の仕事は主に「映像ディレクター」なのですが、副業というか、すでにもう20年もやっているので既に本業化していますがCGのモデリングの仕事をしています。こうしたCGは動画の中に挿入して使うことがほとんどですが、中には出版など紙媒体向け、ウェブメディア向けに静止画イラストを制作するという仕事もあるわけです。(>>参考~出版向けCGイラスト制作
私の場合、一番多いのが筋肉や骨のCGイラストです。お医者様とのお付き合いもあり、20年ほど前から筋肉や骨のCGの三次元モデルを作るようになって、これまでに星の数ほどの書籍やテレビ番組、広告などにCGで筋肉のイラストを描いて供給するという仕事をしてきました。

書籍における筋肉イラスト実績

最近ですと『筋肉総覧シリーズ』という一連のロイヤリティフリー筋肉イラスト集を販売するのが仕事のひとつとなっています。筋肉のイラストは簡単なものならイラスト販売サイトなどで買えるのですが、本格的な解剖の先生が監修しているようなイラストは手に入りません。もし手に入ったとしても複数の筋肉を一枚のイラストに描いているような「複合図」ばかりです。医学書などの手描きイラストを見るとご理解いただけるのですが、深い層の筋肉が浅い層の筋肉の下に潜り込む形になってしまい、筋肉の両端の骨との接点(起始と停止と言います)が隠れてしまって見えないのです。
筋肉というのは収縮することで両端を引っ張り、骨格を動かしています。ですから筋肉の両端(起始と停止)がどこにくっついて作用しているのかを知ることは大切なことなのです。ところが専門書のイラストにも起始と停止が一枚のイラストで見えるものがありません。そこで、この起始と停止の両端が見えるイラスト集を作りたいと思ったわけです。
ところが先ほども言ったように、筋肉の両端を見せるとなると、他の筋肉と一緒に一枚のイラストの中に描けませんので、それぞれの筋肉を個々に一枚のイラストにしなければなりません。ヒトの場合は筋肉は640もありますので、それこそ膨大な枚数のイラストが必要になるのです。最終的には起始と停止が隠れなければ良いという判断で何とか100枚ちょっとのイラストにまとめあげましたが、それでもかなりの数です。制作するだけでも数年かかる。でも、やる価値はあると判断し、なんとか作業にとりかかることができました。

筋肉イラスト

さて、こうして描きはじめた筋肉イラストですが、今度は資料が無いのです。これは大問題。なにせ「起始」と「停止」の表、つまり筋肉の両端が骨のどこにくっついているかを記述した表はどこにでも転がっているのですが、それを可視化したものが無かったのです。そこで、起始と停止の表や『ネッター』のような医学書の解剖図から形を類推してCG化し、それを様々な角度からレンダリングして解剖学者の先生方に見てもらって監修・添削を加えてもらいつつ修正を加えるという手法で追い込んでいきました。
具体的に言えば、書籍の仕事を請けて、その書籍の監修者の解剖学者に見てもらうという方法です。これなら書籍へのCGイラスト供給でお金が入るので収入がゼロになることはありませんから現実的です。我ながらうまい方法だと思います。しかも書籍ですから監修者として入る学者先生も一流です。筋肉のCGイラストなど、そうそう売れるものではありませんので、うちみたいな弱小企業が社運をかけて制作できるわけではありませんので、収入を得ながら制作できるというのは大変有益なのです。
幸いにして一冊目が好評で、他の出版社さんからもどんどん依頼が舞い込むようになりまして、どんどん出版物に筋肉CGイラストを供給しつつ、その収入でモデリングを進めることができました。今ではもう筋肉を最初にモデリングし始めてから20年も経ってしまいました。

整形・鍼灸・整体の先生方に大人気の『筋肉総覧』

筋肉イラスト集ROMこうした過程を経て完成したのが『筋肉総覧』という筋肉イラスト集です。DVDロムの形で、その中にはJPEGとフォトショップのデータが100点以上入っていますので、主だった筋肉についてはほぼほぼ網羅できています。
さらにロイヤリティフリーですから、これをそのままコピーして販売したり、画をそのまま掲載するなどしなければ、素材として使う限りにおいてご自由にお使いいただけます。
鍼灸師の先生や整体の先生が、この『筋肉総覧』をプリントアウトして患者さんに「ここの腱が傷んでしまってるんですよ」と具体的にCGイラスト上で指し示し、なんなら赤ペンでメモをして患者さんに渡すことだってできます。患者さんも自分の症状の概略を理解しやすいので、治療への意欲が変わってくると思うのです。

世の中には筋肉CGのアプリなども出てきていますが、まず監修が甘く解剖的に正しいかどうかは時の運。少なくとも私たちの『筋肉総覧』ならこれまで多くの学者先生方の意見を踏まえながら制作してきましたので、まず手違いがありません。さらに購買者の方々も専門家ですから、もしご意見を頂戴できるなら、そのご意見を踏まえて修正を加えることも可能です。初期の頃は修正点が少量ありましたが、今はもう多くの利用者の中の専門家からもご意見をいただくことがなくなりました。今後はさらに多くの出版物にイラストを供給し続け、もっと精度の高い三次元モデルを制作し、その三次元モデルからのレンダリング画像を集めていきたいと思っています。

参考までに『筋肉総覧』のAmazonでの販売ページURLを以下にご紹介しておきます。

>>Amazon『筋肉総覧』販売ページ

さらに、筋肉イラスト集の弊社販売サイトをご紹介します。

>>Medical-Image.biz 販売サイト

今後も図版の点数をどんどん増やし、皆さんの使いやすい解剖イラストを供給してまいります。

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