映像制作の現場からタイトル
2019/10/18公開

不健康な生活

映像制作のディレクター業をしていると、夜も起きて編集を急ぎでやっつけたり、座りっぱなしで運動していないなど、不健康な生活をしていることが多い。そうなると夜は寝られないし、肩こりはひどくなるしで、薬が必要ということになります。
薬の作用機序の動画とか、私の場合たくさん制作しているので、実はあまり医薬品に対する抵抗感が無いんですよね。だから何でもお薬で解決。我慢してQOL下げるより、薬があるなら飲んで楽に暮らしたほうが良い。

肩こりとの闘い

特に困っているのが肩こり。もうガチガチ。
肩こりは肩の筋肉が緊張することからはじまります。筋肉なんてもんは自分で動くわけではないので、何らかの原因で脳みそやいろんなとこの神経が「ハイ!気を付け!」ってな具合で筋肉を緊張させるわけです。
こうして筋肉が緊張すると筋肉の中を通ってる血管も狭くなるので、老廃物がたまるし酸素も筋肉の細胞にうまく運ばれなくなる。
さらに悪いことに酸素が足りない筋肉の中にはブラジキニンなど痛みを生む物質が生成されてしまうんですね。そうなると痛いもんだからまた筋肉が緊張しちゃう。

こうなると筋肉は固くなるし血行も悪くなるしで、痛くなるのは当たり前。

じゃあ、なんで神経が筋肉に「気を付け!」をさせるのか?私が一番知りたいのはそこなんですが、いかんせん、肩こりで死ぬ人はいないので、偉い先生方は研究していないのかしら、詳細な研究成果など見当たりません。

ただコメディカルの先生が書いているサイトなどでは、「姿勢が悪いと凝りやすい」「直立二足歩行するヒトの場合は重たい頭部を肩や首が支えるため凝りやすい」という意見が書いてあるので、これはまあ、当然うなずけます。

それと、知り合いのドクターが言ってたのですが、そもそもヒトの身体はエネルギーを無駄に使わないように進化しており、動かさない筋肉は固定してしまったほうがエコなんだということを言ってたことがあって、先ほどの話にあった「重たい頭部を支える筋肉」を固めてしまったほうが、頭部を支えるためのエネルギーを節約できるよねって話がつながりそうな雰囲気も。同じ姿勢で動いてないなら、どうせなら固めてしまったほうが良いと、俺の無神経がそう判断しているんだろうか???
うん、ちょっと自分の中で納得した。正しいかどうかわからないけど。

おクスリを探す話

さて、そんなことで納得しても肩の凝りと痛みは治らないので、どうにかしないとならない。で、考えたのですが、要するに、「肩の筋肉動いてないみたいね」「動いてないから重い頭を効率よく支えるために固めてしまうか」ということで「気を付け!」と号令をかけてるのは神経さんだから、肩の筋肉たちに神経さんの号令を無視させたらいいと思ったわけ。

だったら、神経と筋肉の間の命令系統を遮断するような、電話線をハサミで切るような何かそんなものは無いかしら?

あったあった、ありましたよ。いわゆる「筋弛緩剤」ってやつ。お医者さんでもらうのはクロルフェネシンカルバミン酸エステルってやつですね(名前長すぎだろ)。化学的にはウレタンのいとこみたいなものなんですけど、細かい機序は偉い先生方にもよくわからんらしいが、おおざっぱに言えばあれは筋肉に命令する神経にお休みしてもらう薬だったと思う。でもあれはお医者さん受診して、お医者さんが「こいつに薬をくれてやろう」と思ってくれないと買えない。

それで薬局に行って「肩こりひどいから何か筋弛緩できる薬は無いですか?」と聞いてみたら、なんと、ありました。武田から出ている「ドキシン錠」っていう薬です。成分を見るとメトカルバモールと書いてある。おお!!!クロルフェネシンカルバミン酸エステルと「カルバ」ってとこだけ名前が似てる!!!調べてみるとお医者さんとこの長い名前の薬とドキシン錠のメトカルバモールは親戚でした。ま、同じようなものってこと。

さっそく家で飲んでみた。いやー、これは実感としても効きますね。まず飲むとすーっと力が少し抜けたような状態を感じます。肩こりそのものは一日や二日では効果は実感できないのですが、でも三日目にはかなり肩が回るようになってきた実感があります。

さて、この武田のドキシン、一箱18錠入ってるんですが、これで三日分なんですよ。
人間なんてもんはいい加減でして、薬で肩こりが少し楽に感じたら、忘れてしまうんですよ。そんでまた痛くなるわけ。

あわててAmazonでドキシンを探すわけ。そしたらまた違う薬を発見。今度のは製造富山薬品、発売小林製薬の「コリホグス錠」って薬。いいですねえ、コリホグス。わかりやすい。こっちの主成分はクロルゾキサゾンというもの。16錠入ってて一回1~2錠で一日2回までだから大体一週間は使える。

クロルゾキサゾンも筋弛緩剤なので、基本的には作用機序は先ほどのドキシン錠と同じようなもの。飲んだ実感としては、これも良いですねー。三日で楽になります。

さて、楽になったら忘れずに運動運動!動かさないとまた俺の無神経がいつ筋肉に「気を付け!」の号令をかけるかわからない。痛くない今のうちに動かして血行をよくしよう。

不眠との闘い

あと、不眠もたまに悪化することがあって、睡眠外来に行ってお薬もらうと「マイスリー(ゾルピデム錠)5mg」っていう薬をもらいます。これはよく寝付けます。朝起きた時も爽快感がある。
基本的には非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤で、中枢神経に直接作用するタイプですね。血中濃度の立ち上がりが早くて3時間くらいしか効かないで代謝されてしまうので、飲むとキレ良く眠くなり、しかも朝残らない。すごい薬が出たものです。
とはいえ、この手の薬はキレが良ければ良いほど依存しやすくなる。ですのであまり長期で使うわけにはまいりません。なので私の場合はこの薬に若干の抵抗がある。
かといって、もうちょい緩やかな効き方をするような「リスミー(リルマザホン)」みたいなのだと、ベンゾジアゼピン系だし、ダラダラと血中濃度が上がるみたいだし、なんか翌朝残りそうで怖い。

それに加えて、この睡眠外来に行くの、嫌なんですよ。なぜって、俺が「眠れないので困ってる」と言うと、先生も「私も同じで眠れなくて困ってるんですよ」と言うのです。なんでもクスリに頼るのが嫌で、寝る前に運動したり、いろいろ試しているのに、神経が高ぶってしまって眠れないのだそう。だから言ってやりましたよ、「そういう時は無理せずお薬に頼ったほうが楽ですよ」って。これではどっちが医者かわからない。

またAmazonでおクスリを探す話

そんな事情で、これまたAmazonで眠れるクスリは無いか探すわけ。そしたらありました。皇漢堂製薬の「リポスミン」というお薬です。12錠入りであわせ買いだとたった333円という大バーゲンプライスです!さっそく購入。

リポスミンの主成分はジフェンヒドラミンです。ん???どっかで聞いたことがある。確か抗ヒスタミン剤、つまりアレルギーの薬とか風邪薬に入ってる奴だったような。
調べてみると、やっぱりこれ、元々風邪薬・鼻炎薬の成分。ただし、抗ヒスタミン剤としては出来が悪く、副作用の眠気だけが異常に強く出るもので、副作用の少ない新世代の抗ヒスタミン剤に主役を明け渡した成分なんですね。副作用少ない新しいタイプが出回っているし、ならばいっそ副作用である「眠気が強くなる」ってのを効能効果にして売ってしまえ!という、すごい発想の薬です。

でも、これ、効きます。私が気持ちよく眠れましたもの。ってことはこれを風邪薬として飲んでた昔の人は大変だったろうなあ。眠気との闘いですよ。

とはいえ実はこのジフェンヒドラミンは、じんましんなど「アレルギーの薬」としても一般薬で販売されています。それが興和の「レスタミン」って薬。Amazonだとジフェンヒドラミン10mgの錠剤が120錠入っててプライム価格で785円なり。

んんん???ちょっと待て!!
睡眠導入のリポスミンは1錠に25mgで12錠入りが333円。12錠で300mgだからジフェンヒドラミン1mgあたり1.11円。
アレルギー薬のレスタミンは1錠に10mgが120錠入りで785円。120錠で1200mgだからジフェンヒドラミン1mgあたり0.65円。
同じ有効成分なのに、値段で言ったらぜんぜんレスタミン(アレルギー薬)のほうが安いじゃないですか!!!

同じジフェンヒドラミンなので、働きは同じはずなんだけど、リポスミンは睡眠の支援が用途、レスタミンはアレルギーの改善が用途。値段は倍違う。レスタミンを睡眠支援で飲めるなら、それに越したことはないのですが、これについては私は何も言えません。

副作用を効能にしてしまう

実は、このジフェンヒドラミンみたいに、最初に狙ってた効能書きの適用とは違う副作用が、かえってヒトの健康に役立つということもあるみたいですね。
最近だとちょっと話題になってるのがアスピリンですね。マジで研究されているんですけど、低用量のアスピリンがアルツハイマーや、ある種のがんの予防に役立つ可能性があるとか、そういう話があります。

アスピリンといえば、バイエルを代表的する歴史ある消炎鎮痛剤ですよね。日本だとバイエルの本家本元製品はなじみが無いかもしれませんが、バファリンとかケロリンの主成分と言われれば、「あー、お世話になりました」って薬でしょう。
正式にはアセチルサリチル酸と言う成分ですが、柳の樹皮にある成分(サリチル酸)が原型のようです。柳の木は昔から鎮痛剤として重宝されていたので、それを胃に優しく改良して合成したということでしょう。

そんなもんがなんでアルツハイマーやがんの予防と結びつくのか?その機序の解明も進んでいてエビデンスも実際取れはじめているみたいなので、今後投薬によるメリットとデメリットの線引きがキチンとできるようになれば、もしかしたら予防薬として販売される可能性もありますよね。

映像の話に戻そう

さて何の話だったっけか?そう、ここは映像制作のブログでしたよね。

いろいろな仕事の方々と出会います。しかしあまりに自分と関係ない業種の人だと、その凄さを実感できない場合が多い。ところがちょっとでも自分の仕事で扱った業界だと、細かいところで「へー」と思ってしまったりするわけです。

最近だと、医薬品の研究開発している研究者の方々がすごいと感じるのです。作用機序の映像作品を作ったりしているので、医薬品について調べる機会が多いのですが、その薬の発見の歴史などを見ていると、よくもまあ地道な研究を続けるものだと感心してしまうことばかり。

化学って面白いですよね。順序立てて説明をすれば専門知識が無い人にも伝わりやすいでしょうし、映像向き。なにせ「機序」というくらいです。「順序」の「序」があるものは動画で順を追って説明するのが一番。

今日の世間話はこれくらいにしましょう。参考までに医薬品の作用機序動画制作のページをご紹介しておきます。

>>参考~医薬品作用機序動画制作