映像制作の現場からタイトル※当コラム2023年8月以前の日付の記事は弊社サイト統合前の旧サイトから移転して継続しています。ご了承の上お読みください。
2023/7/21公開

自動車業界のブランディング

奥山とZ34

日産車大好きの筆者(Z34NISMOと筑波サーキットにて)

RZ34にからめて、ちょっとセンセーショナルなタイトルをこのブログ記事につけてみました。こうすると、興味ある方に読んでもらえるかなと(笑)

それにしても自動車業界、最近はビッグモーターの不祥事でお祭り状態ですが、今の日本のように人口は減るわ、所得は減るわ、格差は広がるわって時代に、バブル崩壊前の日本の成長期にやってた勝利の方程式をそのままやってるようじゃ、無理して墓穴掘るのは目に見えているわけで、当然の結果としか言いようがありません。
日産なんかもバブル崩壊まで使ってたカビ臭い「技術の日産」というキャッチコピーを2015年前後から復活させて使っていますが、あのフレーズこそ、「過去の栄光」の象徴。「今使うことの危険性」に日産の方々が気付いているのか?1人の地元の日産ファンとして余計な心配をしています。

私は広告PRの世界でずっとやってきた人ですが、経営と広報というのは表裏一体です。ですから経営にクチを出すなんておこがましい事をする気は無くても、ちょっとは踏み込んだ話になるので、そのあたりはご容赦願えればと思います。

日産ファンとして思うこと

私はこれまでいろいろなメーカーのクルマを複数台同時所有で乗りついできましたが、日産も地元の企業ですから味方していて、ここ7年ばかり日産のZ34NISMOも乗っております。本当に良いクルマだと気に入っているし、仕事とはまったく別で、本当に趣味で3D-CGを作ってみたり、そのCGで壁紙ファイルを作って頒布したりと思う存分Zライフを楽しんでいるところです。

>>壁紙はコチラのページ

モデリングイメージ

ZのCGによる壁紙を作って無料頒布中(趣味です)

その結果、多くの方がダウンロードしてくださり、携帯やPCなどで使ってくださっているようで、本当に全国のZファンとのつながりができました。人生をよくしてくれたZというクルマに感謝です。ぜひZファンの方がこの記事を読んでおられたら会社の「お問い合わせフォーム」あたりからでも社長の私宛にご連絡ください。ソーダでも飲みながらZを愛でましょう。

とはいえ良い話ばかりではありません、日産は良いクルマを作っているけど、その反面、顧客心理をつかむのがヘタすぎると指摘しておきたい。
私も映像などのメディアを仕事にしているので心から思うのですが、ブランドイメージの作り方(ブランディング)を、もっと大切にしたほうが良いですよ。
「イメージ戦略」はとても大切。2010年代に起きた多くの不祥事の傷跡が残る今、そこに失敗すると「いまに顧客は帰ってくる」なんて甘いことを言ってられなくなります。

H報堂さんが広報戦略についてアイデアなども出してアドバイスしているのでしょうが、東京オリンピックの公式エンブレム盗作事件の当事者であるデザイナー佐野研二郎氏もH報堂の元社員ですし、H報堂の事実上自画自賛のための賞をもらってどっかの美大に事実上の天下りって状態です。こんな悪質なデザイナーモドキに賞をたくさん与えて箔付けてこの業界で生かしておくだけでもH報堂の信頼性に関わると思いますよ。こんな会社に日産は生命線を預けて良いのか?

こう言ってはなんだけど、今の日産、相当ヤバいですよ。ぶっちぎりでヤバイ。本当に目を覚ましてほしいです。昔の日産を知っているからこそ、その「過去の栄光」を一旦忘れて、新しい時代の日産の凄みを見せてほしいと心から願っているのです。

応援しているからこそ駄目さも指摘

私が日産という会社を好きというか、好意的にいつも見ている理由は、横浜発祥という、まさに地元愛からです。広島の人にマツダ贔屓の人が多いのと同じ。できる限り、近い地域にお金を落としたほうが世の中のためになるかなと思う一方、「あれ?日産ってすでにルノーと組んでるから半分くらいフランスの会社???」という疑問もありつつ、まあイメージとして、何となく応援しているわけです。それに日産が作るFRスポーツカーは昔から本当に良い。

とはいえ最近は日産でしか経験したことが無い様々な「顧客対応のダメさ」が露呈しすぎて、ちょっと日産に疲れ気味(もう慣れてきましたけどね)。こういう目の前の顧客対応からブランディングって始まっているし、最終的には顧客満足度の向上でブランディングは完結し、その結果としてイメージの刷新ができるわけですよ。つまり、今の顧客こそが将来の潜在顧客だということ。日産のディーラーに今現在足を運んでる日産ユーザーこそが、将来にわたり日産車を買ってくれる一番の潜在顧客候補であるわけですよ。ここを掘り下げずにどうする?と思ってしまうことが多い。つまり日産のクルマって、買っても何か顧客へのアクションがメーカーからディーラーを介して行われるわけじゃないし、顧客向けイベントみたいなのも薄いし、楽しませる姿勢があるのかどうか?よくわからないんです。

「掘り下げ型」と「拡大型」の違い(マツダと日産)

メディア戦略とか展示イベントとか、そういうのは「今現在日産のお客さんになってる人の顧客満足度向上」とは少し目線が違う。今現在の顧客の満足度を上げる営業戦略を「掘り下げ型」と命名すると、日産がよくやるメディア戦略や展示イベントは他メーカーのクルマに乗ってる潜在顧客を狙った広報戦略ですので、それはいわば「拡大型」の営業戦略です。

昔、うちのお客さんで営業の天才と言われた人から教わった話ですが、掘り下げ型を「ファーマ―(農夫)」拡大型を「ハンター(狩人)」と呼ぶ概念もあるようですね。で、掘り下げ型のファーマ―の代表格はマツダと、アウディのような海外メーカーですね。そして拡大型のハンターが、日産やトヨタです。

日産の場合、ショールームに新型車を展示して顧客を集めるということはよくやっていますよね。時には大々的に期間限定の「ニッサンパビリオン」のような1社による万博みたいな巨大展示会をやったりします。これらは日産の現在の顧客の満足度向上への取り組みとは少し違い、「もっと多くの人に日産を見てもらう」という、いわば拡大型のハンター的営業戦略です。さらに言えば自動車ライターなどメディアへの対応と、今の顧客への対応を比較すると、明らかにライターなどメディアを優先しているように見える。試乗車なんかはまさにそれ。
こういう展示イベントもメディア戦略もお金かかりますので、日産を担当している広告代理店のH報堂は喜ぶかもしれませんが、今、日産車に乗ってる顧客が喜ぶわけじゃないです。

比較するとマツダなんかは、こういうところがうまいんですよね。マツダも私は好きで、もう30年以上のお付き合いになるのですが、今現在マツダを使ってるユーザーさんとマツダというメーカーが近い。お客さんを大切にするということをよく知ってるんですよね。イベントなんかもマツダ車に乗ってるお客さんのことをよく考えられている。つまり「掘り下げ型」と「拡大型」の営業戦略のバランスが良い。泥臭いのかもしれませんが、マツダはメディアだけではなく、ユーザーも本当に大切にしてくれていると「顧客として実感できている」という事実があるんです。これ、すごく大切。

対して、日産なんかは新型RZ34の試乗記事がこれだけ世に出ている割には、販売店での試乗車は「準備中」のまま、一般向けの試乗は行っていません。あれだけライターさんには乗せているのにね。少しは日産の既存客は、こういう現状に不満を漏らして良いと思いますよ。
もちろん、日産という会社が正直に顧客に真摯に対応している限りは、不平不満など言ってはいけません。それを言ったら「カスタマーハラスメント」になってしまいますから。でも、もしウソで固めて顧客を騙しているとしたら、お客さんはむしろ怒るべきだし、日産という会社から離れるという選択肢だって検討してもおかしくありません。

今から少し、そのあたりをRZ34の発売開始からこれまでの経緯を追いながら、解説してみます。

Zのお客さんが宙に浮いてしまっている現実

いくらメディア向けに良い顔をしてもダメ。例えば2020年に発表され、2022年に発売開始(一時だけでしたが)した新型のRZ34(Z34の後期とも言われています)などは、広報車はどんどん貸し出してメディアにはバンバン露出しているけど、実際は、車そのものの製造が追いつかず、受注開始後わずか1ヶ月で中止している状態で、運よく滑り込みでオーダーを入れた人でも、納車はすでに下手をすると5年先になるという恐ろしい状態です。

まずここで言えるのは、「日産は顧客に期待させるだけさせておいて前評判を上げまくった挙句に、そのRZ34をマトモに作れていない」という事実です。これは「悪」と断言できないにせよ、「顧客への精神的裏切り行為」とは言えると思う。

こんな体たらくで発売から1年経った2023年7月現在、街でもまるでRZ34を見かけないのに(事実私も黄色のを一回しか街で見かけていない)、雑誌への記事だけは出し続けるものだから、「雑誌やウェブではよく見るけど実車がぜんぜん無いし買えない」という一番まずい状態になっている。
たぶん、一番怒るのは前の世代のZ34に乗ってる人じゃないかな。Z34は発売開始が2008年でしたので、10年以上経ってますからモデルの末期に買った人ですら、そろそろ買い替えの時期に来てるのに、RZ34に乗り換えようとしても、雑誌じゃ記事は見かけるけど、実車は見れないし、受注中断状態だから買えないし、ストレスたまりますよね。実は私も今はその状態。

内田社長だって、自分がZに乗って雑誌の連中相手に「楽しい」って言ったところで、多くのお客さんからしたら「俺らが買えるわけじゃないから、俺は楽しくもなんともないよ」って事になってしまう。

ディーラーだって、そんな納期数年かかるような車、恐ろしくて今の顧客に勧めるわけにもいかずという状態。
これで雑誌のライターあたりが「新型Zの走りは…」とか書いてる記事を読んだところで、買えないのだから空虚でしかない。さらに悪いことに「私のところに納車されたRZ34は…」みたいな記事があること。つまるところ、日産は自動車メディア関係には優先的に予約させたのではないかという疑惑がつきまとう。実際はそうじゃなくても、そういうふうに「見えてしまう」というだけでも、ブランディングとしては失敗です。まったく日産は何をやってるんだと日産ファンの一人として思っています。

雑誌やウェブなどメディアにはどんどん露出するくせに、お客さんに売るクルマが無いなんて、いったい日産という会社は誰のためにZを作っているのか?と言われても不思議ではない状態ですよね?
最近日産が起こした数々の不祥事もブランドを傷つけましたが、今回の「Zが買えない件」も、ブランディングに大きく悪影響を与えていると分析すべきです。そして本来、こういう分析をちゃんとH報堂みたいな広告のプロがすべきなのですが、やってないだろ?どうせ。

転売ヤーからRZ34を中古で買った人も

私が通ってる日産系ディーラーから聞いた話だと、しびれを切らして中古車で新型RZ34を買った人までいるらしい。新車の100万円増し程度らしいですね。つまり、RZ34の残り5000台のバックオーダーのうち、相当数が自動車販売店の投機目的での購入という可能性が高いんです。すでに国内で1000台あるはずのRZ34をなかなか道で見かけない理由はこんなところにもあるんです。

本当にZに乗りたい人が買える状態を日産は早く作るべきです。マスクやアルコールの時もそうでしたが、先に買占めをやる転売ヤーがいるんですよ。で、相場が100万上がってしまっている。それで中古車を買うのだからバカらしい。「ウチは作るだけだから」という姿勢でも良いが、そもそも「Zとは何ぞや?」と考えた時、「誰もが買える手が届く本格スポーツカー」という立ち位置でしょ?そうなっているでしょうか?今、その立ち位置にいるのがマツダのロードスターです。

こうした「価値観を作る」ということもメーカーとしての務めでしょうし、使命でしょう。転売ヤーがいるのはしょうがないから、早く一般の本当の顧客に向けて供給できる状態を作るべきですよ。それができないならZというブランドを使わないでほしい。それはすでにZの思想からはかけ離れているのだから。

他社に乗り換えしかないのか?

自動車メディア撮影風景

ディーラーの方々も被害者です

RZ34が現実的じゃないとすると、私のZもすでに7年経っているし、そろそろ他に乗り換えたいので、Zが無理ならポルシェか、またはロータスあたりに行ったほうが現実的な気がします。日本車でFRで3リッタークラスの6気筒以上となると、もうスープラくらいしか思い当たりません。スープラで良い人ならスープラを買えば良いのだろうけど、スープラが好みじゃない場合、他に選択肢が無い。
ならまたマツダに戻ってロードスターでも考えますかという話になりますよね。

一番困っているのは日産のディーラーさんでしょう。Zの乗り換え時期が来ているのに、その顧客層に売るものが無いからみすみす逃すしかないわけです。彼らも生活がかかっていますからね、必死ですよ。
私らユーザーにしたって、ディーラーさんとも良い関係を築きたいですし、できたら一度お付き合いができた担当者さんからクルマを買いたいのですが、無いものは買えないので、ちょっと厳しい状態ですよ。客としてはディーラーとのお付き合いが一旦切れてしまいますからね。

厳しい見方をすると、こういうところも、「日産は今の顧客を大事にしていない」と感じてしまう原因なんですよね。つまり先にも言ったように、今いるお客の満足度を向上させる「掘り下げ型」の営業戦略をまるで無視して、とにかく知名度を拡げる「拡大型」の営業戦略だけやってる感じ。
でも、その方針って、今の時代に合ってるのか?という疑問が私個人としてはあるのです。人口が増えていく時期なら「拡大型」で良いと思うのだけど、今は人口が減っている時代ですから、今いるユーザーをつなぎとめる方針のほうが、時代に合ってる気がするのですが、これについては後で話しましょう。

RZ34を展示したニッサンパビリオンでの出来事

では、実際に、「今の顧客をどう扱っているか?」という実例を挙げてみましょう。例えば広告代理店のH報堂が主体となって企画して実現したニッサンパビリオンという施設が2020年の8/1から10/23までの期間限定で横浜みなとみらいに開かれました。
私も新型Z(RZ34)が展示されていることに気が付き、ウェブを見て、最終日に近い、とある金曜だったと思うが期間内に行ってみた。
Zで横浜までサッと走っていったまでは良いのですが、ウェブで見た駐車場がうまく探せずにグルグルしてしまったので、パビリオンの正面に自分のZを停めて聞こうと思ったのですが、パビリオン前にいたスタッフジャンパーの人に「今日はメディア対応のみですから入れません」と言われて入れませんでした。

メディアしか入れないような日を設定するなら、本来なら10/23の最終日以降の、例えば翌日の24日にするなど、方法はあったはずですよね。アナウンスされている期間内に行って、そこで「今日はメディアオンリーです」って言われても困る。

出かける前に見たこのニッサンパビリオンのウェブサイト、デザインはものすごく斬新で凝りまくっていたのですが、デザイン凝るより「今日はやってませんよ!」というアナウンスをちゃんともっとわかりやすく表示すべきだったと思いますよ。(H報堂と、そのウェブのスタッフがダメだったのかなと思う。とんがったデザインをするより、伝えるべき情報を精査してそこに集中しろよ!メディアの基本だろ。)

それとですが、このメディア対応日に入口にいたスタッフさんは、日産の社員さんではないでしょう。H報堂や、そこからイベント仕切りを受注した別会社のスタッフさんでしょうか、日産のZに乗ってきたお客さんがいたら日産の味方なのはわかるだろうし、普通に別の日をご案内するとか、何かうまく顧客満足度を下げないような方法があったと思います。こういうのって、対応の仕方や言い方ってものがあるように思います。さすがに日産の人間が一人も入口にいないというのは、いささか問題だと思うし、一般客が来てしまった時にどうするかとか、イメージできなかったのだろうか?
実際、この日の同じような話は私だけじゃなく、岩手県でZに乗ってる知り合いも同じ経験をされたそうで、しぶしぶ、RZ34を観ることなくドライブして帰ったそうです。さすがにパビリオン運営方法も改善の余地はあっただろうと思われます。

日産の人には言いたいのですが、メディア対応は大切でしょうが、仕事で集まってきただけのメディアの方々が実売総額700~800万するRZ34を皆さん買ってくれるわけではありませんよ。買ってくれるのは岩手から数百キロ運転して、このイベントを楽しみにしてプライベートで足を運んでくれるような、Zをこよなく愛する人たちです。仕事でパビリオンに集まってくるメディアの人ではありません。

RZ34の納品遅れの原因~「半導体不足は嘘」だという噂

そのニッサンパビリオンで展示された新型フェアレディZ(RZ34)は、2022年7月から受注開始しましたが、なんと一か月で受注停止。受注再開の目途が一年も経った2023年7月現在時点でまだ立っておりません。バックオーダーはすでに6000台とも言われていますが、まったく生産が追い付かない状況になっているそうです。1年経ってやっと1000台くらいは作ったみたいなので、下手するとあと5年はかかる計算でしょうか。
その遅れの理由は公式には「半導体不足とコロナの余波で、日本での受注を再開できません」ということらしいし、私も日産のお客様相談室(0120-315-232)に聞いたのですが、確かに「半導体不足とコロナの余波」と聞きました。実はこれがあくまで「対外的な理由」であり、とある記事によると実際は「塗装が原因」らしい。>>こちらが記事
この記事以外にも同じことを伝えている記事が山のようにあり、半導体不足というのは対外的な理由で、実際は栃木工場のラインにある塗装マシンの仕上がりが悪いためというのが書かれていました。とにかく塗装の仕上がりが悪く、歩留まりなどの問題か、2023年5月などは67台しか製造できていないことがわかります。
気になったので、他の自動車会社の方に世間話程度に聞いてみると、「もう自動車業界の半導体不足はほとんど解消しているので、数年という大幅な納期遅れの原因としては考えられない」ということで、塗装の仕上がりが悪いという原因は「さもありなん」な事です。もっと言えば、この塗装の問題を指摘しているメディアだってプロなんだから、まったくのデマは書かないでしょう。ちゃんと根拠があるはずです。つまり「火の無いところに煙は立たない」ということです。

数々の不祥事を起こした日産の企業体質

ではなぜ公式には「半導体不足とコロナの余波」と言っているのでしょうかね。これってウソということになりませんか?全面的なウソではないにせよ、他に決定的な原因があるにも関わらず、それを否定(もしくは消極的な隠ぺい)して、自社の責任が無く無難な「半導体不足とコロナの余波」という理由でごまかすような姿勢は、過去に出荷検査を適当にちょろまかしたり、社長が報酬不正していたり、排ガス性能検査改ざんなどといった不祥事をやってきた日産の企業体質に存在する膿がまだすべて消えたわけではないということでしょうか。私はそう思いたくないし、生まれ変わったと信じたい。

どのみち、日本人は頭も回る民族ですから、その日本人相手にウソで隠し通せるわけではありません。ウソをもしついているなら、早めに本当の理由を公表して「ちょっと発売を早まっちゃいました」と正直に謝罪をしちゃったほうが良いと思う。この後10年先、20年先を考えたら、今「日産」というブランドに傷をつけることが会社のみならず国益を考えても得策とはとても思えません。
RZ34は今のところ6000台ほどのバックオーダーが入っているらしいですが、人としての良心ということからも、5年近くお客さんを待たせるとすれば、ちゃんと本当の理由を言ったほうが良いように思います。

ごまかしは不信を招くだけ

ビッグモーターさんの不正も最近メディアを騒がせていますし、自動車の出荷検査時の不正も糾弾されているように、昨今の自動車業界は信用失墜が甚だしい。
日産だってゴーン氏の件で大騒ぎがあり、今でもその余波が残っています。さらにその後に社長になった西川氏についても「報酬不正」で引責辞任という顛末。2017年9月の無資格者検査問題も大きなショックでしたし、そこから一年も経たない2018年7月には排気ガス性能検査結果改ざんでお祭り騒ぎ。
もうそろそろウソを省いて正直にやってほしいところ。そうじゃないと「日産車に乗ってるのが恥ずかしい」という人も出てきかねません。これは経営に携わる方々には意識していただきたいところです。だからこそ、RZ34の納期遅れや受注停止の理由の開示を、正直に本音で適切に行うべきなんです。企業風土や体質を変えるには、こういった小さいところから、できることから始める。そういうことでしょ?

本当に「技術の日産」か?

また、これはメディア屋としての私の日産愛からの提案ですが、そろそろ「技術の日産」というキャッチフレーズを使うのをやめたらいかがでしょう?まだ使っていますからね。
この「技術の日産」というフレーズは、今の日産にとってまさに「過去の栄光」の象徴なんですよ。それを、不祥事続きの、今というタイミングで使うというのなら、それはもう、かつての大日本帝国の大本営発表のプロパガンダと同じ。負ければ負けるほど勇ましいフレーズで悲しい現実を包み隠し、国民を鼓舞し、狂気を増長させるだけです。
ということで、一応メディア屋の立場から言わせてもらうと、あまりに現実から目をそらしたプロパガンダ風なキャッチフレーズを使うのは良くない。特に2020年の特許出願数を見れば、日産はすでに日本国内自動車製造では7位にすぎません。この現実は眼をそらさずに直視してほしいと思います。技術の日産というのなら、せめて年間1000件くらいは特許出願できるくらいの研究をしてほしいと思う。しかし現実は以下のような数字です。

1位トヨタ 5617件 [全企業中2位]
2位ホンダ 2584件 [7位]
3位マツダ 765件 [44位]
4位いすゞ 753件 [45位]
5位ダイハツ 646件 [56位]
6位スバル 613件 [60位]
7位日産 495件 [76位]
8位三菱 486件 [78位]
9位スズキ 485件 [80位]

上記の表を見て、まだ【”ぶっちぎれ” 技術の日産】(2017年8月~)【技術の日産が、人生を面白くする】(2015年8月~2020年7月)などと、本当に言えるのかどうか?
ちゃんと技術で他をぶっちぎってますか??????? トヨタを見てほしい。ぶっちぎられてません???

日産ファンとして言わせてもらうと、ちょっとね、このコピーライター(たぶんH報堂)というか、このコピーを提案した広報戦略の担当者さん、どうかしているよね。まったく現実が見えていない。上記特許出願数の比較を見れば、日本にはどれだけ日産より「技術のナントカ」と言うにふさわしい企業が山のようにあるかわかります。

対外的な「キャッチコピー」というのは社内向けには「社員向けプロパガンダ」になりうるのです。つまり外に向けて「うちは技術の会社だよ」とアピールすれば、それを聞いた社内の人は「うちは技術の会社だから」と安心してしまう。どうせH報堂の勧めでしょうが、「技術の~」という昔のキャッチフレーズを自ら自画自賛的に使うことによって、今の日産の本当の姿や現実を見失い、感覚が麻痺し、危機感を感じられなくなったらおしまいです。だから先にも大本営発表と重ね合わせましたが、プロパガンダ風な、こうした勇ましいキャッチフレーズは本当に危険なんです。

私が広告代理店の担当者なら、いろいろな不祥事から何とか立ち上がろうとしている時期ですし、日産さんの売り込み方はもうちょっと慎重に考えますね。こんな「技術の~」なんてカビ臭いフレーズを持ってくるあたりを見ると、さすがに「日産の広報はH報堂さんで大丈夫か?」と思います。かといって「D通」が良いか?というと、今日も五輪がらみの不正の話がニュースになっていましたよね。まったく大手企業ってのはどいつもこいつも。

落ち目の会社は過去の栄光にしがみつく

今時、「技術の日産」などという古いキャッチを再び使っている日産を見ていると、ビッグモーターや大東建託、そしてレオパレスなど「団塊ジュニア企業」と一緒の罠に落ちているように見える。つまり人口増や所得増の勢いに乗って成長していたこれら団塊ジュニア企業が、バブル崩壊後のことごとく人口減・所得横ばいの時代に対応できず、過去の栄光がかえって災いし、日本の成長期にやっていた「昔の方法論」に固執して会社が傾き、今度はそれを隠すために無茶なノルマを設定し、結局は不正にまみれておかしくなったのと共通項が見えるのです。
つまり今の時代、人口は減るし、所得は少し上がっても物価も上がってるから横ばいだし、企業もその現実を踏まえて考えるべきなんですよ。でも、過去の栄光にすがるから、拡大傾向をやめないし、人材も減っているのに無理をして、おかしくなっていく。
自動車業界は世界を相手に商売をしているから話が少し違うとはいえ、先進国の成長なんて、もう止まってますよ。成長の可能性を見せてくれるのはインド?それに東南アジア? そこに支払総額800万円近いRZ34なんか売れます???将来的には中国製の安っすいEVあたりが売れて終わりでしょう。

日産のZが1960年代後半に急激に売れたのは、アメリカが相対的に見て日本より大きく豊かな国で、そこに売れたから。そもそも日本のDATSUNなんてブランド、アメリカ人はそれまで信用して無かったのだから、Zへの評価で「0から100」へと急激に上がって売れたわけですよ。
日本国内においても1964年の東京オリンピック後で「これから日本は良くなる」って夢のある時期だったから、人口だってどんどん増えてファミリーカーへの需要があった。つまりアメリカ市場はゼロからのスタートで急激に日産を受け入れるようになり、日本国内市場は人口増と所得増を背景に日産車を受け入れたというだけのこと。
なんで戦後からバブル崩壊まで、日本のクルマがバンバン売れたか?理由は簡単で、何かやれば売れる。そういう時期だっただけなんです。今、こんな天国みたいな時代の残影にすがっていたら、本当にダメになっちゃいます。

未来志向の日産を心から見たい

日産が「技術の日産」というフレーズを使うようになったのは、ちょうど上記で「何かやれば売れる」と私が言った1950年からバブル崩壊頃である1991年までです。つまり日産だけじゃなく日本全体に勢いがあり、どんどん成長を続けていた時期と重なります。ですから私は先に「技術の日産というフレーズは過去の栄光の象徴」と分析したのです。ここから離れないと本当にダメになると思う。
そしてゴーン氏の問題や、西川氏の報酬不正、無資格者検査問題、さらに排気ガス性能検査結果改ざんという不祥事続きの時期、2017年にこの「技術の日産」というフレーズを復活させた。これは本当にイメージとしてよくない。
僭越ながら今の日産にとって必要なのは、体質改善であり、未来志向の脱皮だと思っています。ですからもっと未来志向のキャッチコピーが必要なのでは?それなのに、過去の栄光の象徴を、不祥事続きの時期に持ってくるようなH報堂担当者で本当に良いのかどうか?日産も惰性で続けるのではなく、少しは真剣に考えたほうが良いと思う。
本当に昔の901活動の頃の日産の栄光を取り戻したいなら、本気で精神的に生まれ変わってほしいと1人の日産ファンとして願っています。そして901活動から生まれたZ32やR32などと並ぶ令和の名車が生まれることを切に願っています。

さて、いろいろ書いてしまいましたが、日産というメーカーは本当に地元ですからね、本当に心から応援し続けますよ。もう「技術の日産」なんてカビ臭いフレーズは忘れて、現実を受け入れ、もっと正直になって顧客と向き合ってください。
ただし、私は株も持ってたのですが、そちらは売り飛ばしてしまいました。さすがにあれだけ不祥事が続いて、鳴り物入りで発表したRZ34すら造れないという状況を見て売り飛ばすしかなかったのです。クルマ屋なんだから、せめてクルマくらいはちゃんと造ってください。工場の塗装ロボット調子悪いなら、そいつ替えてくださいよ。そんな塗装に問題ありそうなクルマ、買うのやだから。

文句あるなら電話でもしておいで

日産、内田社長に代わって、会社の体質改善ができるか期待しています。内田社長は若いし同志社大学の神学部だったかの出身だから、人間(社会的存在としてのヒトの集合体)の行動などには詳しいだろうし、私が上記で言ってることはわかるでしょ?
もし、先に「技術の日産」を使うのは危険など、私が言ってることに少しでも共感でき、なおかつ心の底からH報堂を信じ切れていないようなら、電話してくりゃいい。それと、日産の人で、文句あるならそちらも遠慮せずどうぞ。電話かけて「社長います?」って言ってもらえれば小さい会社だから私が出ますよ。
明らかに上記のブログ記事が私の単なる思い込みで、その内容を否定できるなら、この記事は消してもいい。地元のよしみだし、そのくらいはかまわない。しかし、ちゃんと日産が生まれ変わるところを見せてほしい。このままだと本当に日産は終わります。

>>映像制作の現場からTOP

メールでのお問合せロゴ

映像演出術の専門家が作るコンテンツの数々

映像作品の事例紹介

高度な演出技法を惜しみなく投入したデキサの映像作品群

弊社映像制作会社デキサはテレビ番組などの映像演出を専門とするディレクター職の代表が設立した映像制作プロダクションです。
コーポレートアイデンティティ動画や、商品PRといったマーケティング動画、マニュアル動画まで、それぞれの用途に合わせた演出方針で的確な映像を制作いたします。
映像演出30年の経験に裏付けられた確かな技術で、貴社の動画コンテンツをレベルアップさせてみてはいかがでしょう。
以下のリンクのページにはほとんどのジャンルの映像制作の専門ページが紹介されています。皆さまのフィールドに合ったプランが必ずあると思います。ぜひお役立てください。

>>映像制作サービス紹介ページ