映像制作の現場からタイトル

ドラマ用医療CG制作の緊張感

ドラマトップナイフタイトル日本テレビで2020年1月11日から毎週土曜日の夜10時から放送される医療ドラマ『トップナイフ』(主演/天海祐希)の医療CGを今私が作っています。もちろん私だけではいろいろ怖いので、いつもながらゲインの横山氏にも協力してもらいつつなのですが、たまにやると本当にドラマのCGは緊張しますよね。なにせドラマは後々まで残るので、ちょっとした間違いが恐ろしい結果を招く。
今回のドラマで私らがやっているのは、医師たちが医局で患者の病気の現状について相談したり、手術法の術式をどうするかディスカッションしたりというシーンで使われる医療CGです。毎回こういうシーンは必要となるので、スケジュール的にはとても厳しい仕事です。
まず脚本が上がってこないと仕事に取り掛かれないのですが、脚本を待っている間は「さあ、どんなCGが来るのかな?」とドキドキものです。怖いといえば怖いですよね。もし世にも稀なる聞いたことが無いような病気を扱うとなると、病理病態をどこまで再現できるかという心配もあるし、何せドラマの現場ですから、そういう事態は十分に可能性として考えられるわけです。何せ『トップナイフ』は脳外科に焦点を絞ったドラマですから、毎回「脳腫瘍」ばかり扱うはずがないのは普通に考えればわかるわけで、どんな病気が登場するのか?本当に緊張感がすごい。

>>参考~医療CG制作

>>参考~医療映像制作

ドラマのCG制作は時間との闘い

トップナイフCGさて、今は1話目のCGを収めてやっとOKを頂戴し、先日ロケで使われたところです。私たちの作っているようなCGというのはロケ小道具であるパソコンとかディスプレイに映し出される場合と、編集で取り切りで画面にはめ込む場合と、使い方が二種類あります。そのためCGの制作スケジュールはどうしてもロケに合わせることになりますので、結構日程が厳しい仕事になるという宿命にあります。1話目のロケ分を収めるまでがとにかくすごく忙しかった。
台本をもらったのが11月の末です。そしてモデリングをウチとゲインさんとで手分けして一気にやって、12月4日に監修医のチェックを受けに千葉県船橋市にもっていったわけです。このモデリング期間が5日間しか無いという状態でしたから、メディカルCGと言われる分野に限って言うならまさにワイドショーレベルの超特急です。もちろんワイドショーなどですと、「今日発注で明日納品」みたいなことは多々ありますから時間的にはもっと厳しいのですが、医療ドラマでのCGに求められている信頼性のレベルが全く違うので5日間あるからといって余裕があるかというとそうではない。ワイドショーの場合は説明すべき点が明確ですから、極論を言えばリサーチして間違いを絶対にしてはならない点というのは限られているのです。だから調べるにも時間がかかりませんし、モデリングする段階でも、その部分だけ気をつければ放送的に問題は起きません。
ところがドラマとなると、まず脳外科を扱うドラマとなると、その道のプロがまず見るだろうことは容易に想像が付きます。その道のプロの方々に「なんだよこれ」と思われてしまったら、一番バズらせたい視聴者層を逃してしまうことになるんです。これは痛い。だから私も必死です。これまでになく調査を重ねてモデリングをすることになるわけで、5日間のうち2日は調査に時間を使って徹底して間違いを防止し、立体構造までつかんでから残りの3日でモデリングを行いました。

モデリングだけでは済まない

また大変だったのがデザインワーク。この段階ではまだデザインワークとモデリングは別々に進行している感じです。ですから監修の先生が12月4日のチェックの段階で見るのはホワイト(何も色とか質感とか付けていない形状をレンダリングしたもの)となります。これは、医療監修というのは医療的解剖的に間違いが無いかどうかをチェックするのが仕事なので、デザインはいらないからなのです。
ところが実は今回、ロケ日程が迫っているということもあり、デザインも5日までにはほしいという状況でした。ですからモデリングを行いながら複数のパターンでそのモデルに質感をつけて、レンダリングを行い、CGを作るためのワークフローを完全に固める必要があったのです。
デザインは監督が作品全体を通してイメージのバランスを考えて決めるので、チェックしてもらう相手が医者ではなく監督です。監督用に複数のいろいろなレンダリング方法といろいろな背景ファイルを挿し込んだイメージ静止画を作りました。
こういう「監修医用のモデリングチェック用ファイル」と「監督用のデザインチェック用ファイル」を同時にここまでのスケジュールでやったのは初めてかもしれません。
作り終わって送ったのが12月3日の深夜、なんとか間に合いました。
ではチェックはどうだったか?脳の中央にある海馬という器官の位置に少し先生が違和感を申し出てきましたので、そこを少し修正。あと、病態描写のための様々な知識を教えていただき、これを反映すればいいよというお墨付きをいただきました。
デザインチェックのほうはあっという間でした。一応翌日12月5日までにもう数パターン出したのですが、最初のが一番いいということで12月3日の深夜に提出したパターンで決まり。ふー、やっとこれで落ち着くかと思いきや、ここからが本番。

トップナイフCGプロジェクトインターフェース

『トップナイフ』CGの制作画面。リサーチ2日間モデリング2日間で医療監修チェックを通過させる必要があった

実はロケに使う最初のCGが12月11日のロケだったのです。これは大変。提出したデザインワークのひな形、かなり手の込んだレンダリグを要する方法だったのです。テレビのCGというのは急ぎが多いので普段はこういう手の込んだ方法やレンダリングに時間のかかる方法は使いません。しかしドラマですから質感は大切。くわしい話をすると専門用語の羅列になってしまうので、ここでは避けますが、光の回り込みをどう美しく描くかというところで、かなり手の込んだ方法を使っているのです。描き出すだけでも2日はかかるような手法なので、12月11日ロケということは納品は12月10日、監修チェックと監督チェックが終わった段階ですでに12月5日が終わろうとしていたので、また4日間で作らないとならない。そのうち2日は書き出しのために使うとなると、アニメーションの設定をして、質感を追い込んで調整するのに2日間しかない。寝食を惜しんで動くとはまさにこのこと。
ここからもう徹夜の連続。一気に仕上げて12月10日のお昼までには完成したファイルを納品しました。無事終わったー。
とはいえ、さらにここから次のロケで使うシーンのCGに作業が移るわけです。闘いは続きます。

>>参考~テレビドラマ用CG制作

F1並の爆速CPUで制作時間を余らす

爆速レンダリングCPUうちの会社は、こういう急ぎ仕事が多いので、CGの書き出し、つまりレンダリングにかかる時間をいかに短くして、モデリングや質感設定やアニメーション設定に時間を残せるかは至上命題なのです。
そこでうちが使う機材は本当に多種多様。一台のコンピュータの中にCPUコアが32個も詰め込んであるメニーコアマシンや、8コアのマシンを複数台並列に接続してグリッドコンピューティング(スパコンみたいな方法)で演算させる機材など、とにかくスピード命でくみ上げています。だから間に合ったようなもので、これ、普通に4コアとか6コアとかのマシンでのんびりやってたら間に合わなかった。

>>参考~デキサで用いるレンダリングマシン

プロのCG屋のアタマの中

映像やCGというと、すごくクリエイティブに思われるかもしれませんが、その実態はまさに戦場です。プロのCGクリエイターっていうのは、のんびりコーヒー飲みながら新しいネタを考える時間なんて与えられていません。常に放送日時との闘いです。アタマの中にこれまでの仕事で培ってきたノウハウを貯めておいて、それを反射的に引き出して応用して組み立てているのです。
また、これは会社というより私個人の特性かもしれませんが、医療系のCGでテレビというのが多いので、これも複雑怪奇な状況を生んでいます。何せ毎日が勉強です。解剖書なんかお医者さんしか見ませんよね?でも普通に転がっているし、それが仕事道具。時間があれば勉強しているか勉強しているか、勉強している。「CGなんだからオーダー通り作ればいいだけじゃないの?」と思われるかもしれませんが、いわゆる番組作ってる制作さんなんか忙しすぎて番組を成立させるだけでやっとなんです。私のほうに来るコンテや資料では正直まったく情報が足りません。ですからせめて自分の責任範囲であるCGだけでもなんとか間違いの無いようにリサーチを重ねるのです。
ウチも、ビジネスパートナーのゲインさんもリサーチは特に大切だと思っているし、うまく簡略化する自信があります。私たちは別にメディカルCGの専門会社ではありませんが、どんな分野の映像でも、結局のところ何かの専門的知識を扱うわけで、リサーチができなかったらどんな分野のCGも作ることができないし、リサーチを軽んじるならCG屋をやる資格はありません。こういう「姿勢」というのはお金では買えないんです。リサーチャーを雇ったからもう大丈夫とか、そういうレベルの話ではありません。結局はクリエイターにかかっているんですよね。

さてさて、ドラマ『トップナイフ』、どんなドラマになるのか?脚本は読ませていただきましたが、本当に楽しみでなりません。放送は1月11日の夜10時から日本テレビ系です。お見逃しなく。

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映像演出の専門家が作るメディカルCG

医療メディカルCG制作弊社デキサではこれまでにも多くのメディカル映像を制作しています。視聴者心理を計算に入れた高度な演出を施した一般向けのメディカルCGや、そのCGを活用した映像の制作なら、ぜひデキサまでご相談ください。
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>>参考~医療CG制作

>>参考~医療医学映像制作

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