自社機材による動画撮影の利点
一般的に「映像制作会社」は映像を制作することが仕事であり、撮影機材を自社で持つことはありません。撮影機材とクルーは撮影技術会社に発注を行うことで案件ごとに機材をスタッフごと派遣してもらったほうがコストがかかりません。
しかし弊社では映像制作会社としての長年の経験から、コストをあえて優先せず、自社で撮影機材を持つということにこだわります。自社でカメラや三脚、照明やマイクなどを持つことによって、多くの見えにくいメリットがあり、このメリットは私たちの仕事の効率や、クライアント様の利益になるからです。
操作性を一貫させてミスなどを防ぐ
弊社では基本的にフルHDのENGカメラはPanasonic、4KのデジタルシネマカメラはSONYといったように、複数台所有している自社機材のメーカーや機種を可能な限り揃え、現場ごとに機材が変わるといった際に問題となるオペレーション効率の低下を防いでいます。
いつも「慣れた機材」を使うことにより、とっさの事態にも対応が可能で、不要なトラブル回避に役立ちます。
特にドキュメンタリーなどでは大切になってくる瞬時の操作も、自社機材なら習熟度が上がるためブラインドタッチによる操作、つまりいちいち目でスイッチを確認しなくても操作可能となり、決定的な瞬間を逃す可能性を、極力低くすることができます。
こうした細かい部分が作品のクオリティの差となり、視聴者の評価となって跳ね返ってきます。
ワークフローの効率化
映像撮影のフォーマットというものは数多く存在し、それらが業界でのシェア争いを繰り広げています。しかしそれは映像制作を発注なさるクライアント様には関係の無いことです。
カメラの撮影データフォーマットは、その後の作業、特に編集環境に大きな影響をあたえます。弊社は撮影段階からパナソニックのP2という放送用フォーマットを一貫して採用することで制作工程を効率化しています。そのためにも自社機材を導入し、より素早い作業を可能にしているのです。
使用履歴が明確で衛生面での心配がない
撮影を円滑に行うために欠かせないのが機材のメンテナンス状況の把握です。撮影機材を自社で所有することで、メンテナンスの履歴や機材運用状況の把握といった、信頼性の確保のために必要なデータの把握が容易になることも、自社で機材を持つことのメリットです。
機材は機械ですから故障という不安要素が常につきまといます。自社機材は使用履歴がハッキリしているので、整備状態などを把握しやすい利点があります。
さらにどのような現場で使用したかを把握しているため、例えば機材の衛生管理も徹底することができます。
弊社は医療医学関連の映像なども数多く手がけていますが、手術室などの撮影では、不潔なカメラを持ち込むわけにはいきません。自社カメラなら履歴がハッキリしている上、アルコール消毒を行う事も可能ですから、現場に持ち込む際の衛生面での安全性を確保することができるというメリットもあります。特にアフターコロナ時代である今、機材の衛生管理はさらにその重要性を増しています。弊社でも万全を期した衛生管理を行っています。
自社機材紹介
以下が私たちの現場で活用されている撮影機器となります。1/3インチ・2/3インチ型のHDカメラやスーパー35mmサイズの4Kカメラなど、それぞれ画調の違うカメラの特性をよく理解した上で、これらを適材適所で活用しながら、機動性が高く演出がきいた動画素材を収録してまいります。
パナソニックPX380(Full-HDカメラ)
デキサの主力取材機のひとつがこのPX380です。撮像素子は1/3型MOSとなりますので、少しパンフォーカス気味の映像表現となり全体的にキレが良い映像という印象です。
レンズは標準ズームと広角ズームの両方を取り揃えておりますので、どのような局面でも対応できるラインナップを弊社では取り揃えています。
画質に徹する場合は後述する4Kカメラなどの選択肢がありますが、機動性が求められる一般的な映像制作現場では、こちらのPX380および次にご紹介するHPX375が主力として活躍しています。
パナソニックHPX375(Full-HDカメラ)
上記PX380と並んでデキサの主力取材機となっているのがこのHPX375です。撮像素子はPX380と同じ1/3型MOSとなりますので、少しパンフォーカス気味の映像表現となります。またカメラ部分は600%のダイナミックレンジを誇りますので明るい部分から暗い部分までの陰影を上手に描き出します。
ファイルコーデックはAVCintra100とDVCPRO-HDの両者を選べるため現場に設置した他のカメラと画質を合わせやすい優れた特長があります。また電気を食わずバッテリーに優しいという特性は、機材重量を減らしたい過酷なロケ環境では強みとなります。
信頼性が高いP2カードのスロットを2基備えているため、現場でのHDDへのファイル転送が不可能な非電化地域へのロケなどではHDDへの転送無しでP2カードをそのまま保管してもデータ欠損などの可能性は低く安定した撮影を続行できるはずです。
レンズは標準ズームと広角ズームの両方を取り揃えておりますので、どのような局面でも対応できるラインナップを弊社では取り揃えています。
画質に徹する場合は後述する4Kカメラなどの選択肢がありますが、機動性が求められる一般的な映像制作現場では、このHPX375か上記で触れたPX380が主力として使用されています。
ソニーFS7~4Kカメラ
ソニーの4Kデジタルシネマカメラ。撮像素子はsuper35mm規格のCMOSで、マウントはEマウントのため多くのレンズを使用することができます。
毎秒180フレームのハイスピード撮影も可能ですので、スポーツ撮影などに威力を発揮します。
浅い被写界深度を活かした奥行き感の演出や、フォーカス移動による視聴者の目線誘導も行えるため、より映画的なドラマティックな映像を制作することができます。
ベースロッド、フォローフォーカス、マットボックス、拡張ユニット込の運用重量でもHDカメラと変わらないため、アグレッシヴな撮影を行うことができますので、フォーカスマンさえいれば追跡取材なども可能です。
>>4KカメラFS7詳細
パナソニックHPX500シリーズ
私たちデキサがサブカメラとして活用している自社カメラです。メインカメラとしては最新のHDカメラと比較して解像度が追い付きませんが、DVCPRO-HD方式による安定した画質と2/3インチ型CCDによる動的な歪みの少ない明るい画質が長所です。
年期が入っていますが、いまだに利用価値の高いカメラです。シネライクガンマなど画質調整の種類も豊富で、作品によってトーンを選択することが可能です。
また、Panasonicのカメラ特有の、明るく、しっとりとした色彩感豊かな画調がよく反映されているカメラで、このカメラでなければ出せない味があり、「スペックだけではカメラを語ることはできない」という良い事例ではないかと思います。
三脚と雲台
映像・動画のカメラマンにとって三脚と雲台はカメラよりもむしろ撮影にとっては重要と言える機材です。いかにカメラの性能が良く、操作性に優れていたとしても、そのカメラをサポートする三脚と雲台の信頼性が低かったら、どんな失敗の要因になるかわからないからです。以下に弊社が使用している三脚と雲台について触れてみたいと思います。
>>動画撮影用三脚の詳細
外注の有効活用
自社機材を運用することを基本にしているデキサですが、良いものは外部から取り入れるという方針をとっています。
ここでは柔軟性の高い現場運営についてくわしく触れてみたいと思います。
自社機材で対応できない場合は?
弊社デキサはポストプロダクション業務においても長年の経験があり、ノンリニア編集については業界に先駆けて導入してきた実績があります。
特にハイスピード撮影などの場合はスタジオ収録などでも変圧器のちょっとした電圧変動による照明の照度の変化が大きく影響しますので、経験豊かなスタッフが求められます。
弊社では多くのスポーツコンテンツでハイスピードカメラを運用してきた実績があり、こうしたトラブル回避のためのノウハウは蓄積されています。安心して撮影をおまかせいただけたらと思います。
機材は自社所有でもカメラマンは外部スタッフ
とはいえ、弊社の機材は放送の現場でも通用するENGを中心としています。これら優れた機材を運用するためにはプロフェッショナルなスタッフが欠かせません。
弊社ではフリーランサーの多くのカメラマンと協力関係を築いています。そして作品ごとに最適と思われるスタッフを投入して撮影にあたります。
デキサの人員選定は非常にシビアです。シビアな眼に耐えるだけの優れたプロだけがデキサの現場に加わることができます。厳しい現場でふるいにかけられ、映像制作という仕事を根底から理解し、作品ごとの個性である「キモ」を理解できるスタッフのみが残っています。彼らデキサの撮影スタッフは常に最良の結果を生んでくれることでしょう。