制作に一年を要した大作医学映像

治験コーディネーターイメージシーン

アステラス製薬様からのご依頼で制作した作品です。制作に時間がかかることが多い医学映像ですが、本作品は「治験」という、いわばセンシティブなテーマを扱うため、弊社デキサが手掛けた作品の中でももっとも長い一年かかった超大作でした。

タブーを排して丁寧に伝えることに専念

治験を受けに来ている患者さんのイメージショット

治験薬や治験の内容について丁寧に説明を行い、治験に参加される方々が無用な不安を抱いたり、または治験のリスクを知らずに楽天的になってしまうような事態を減らすことを目指した動画です。
厚生労働省などでも治験を説明する動画は制作してYouTubeなどで公開していますが、こうした動画では「治験とは何か?」という、いわばシステムの説明が中心で、「なぜ安全か?」の説明を中心とする当作品とは性質が異なります。当作品ではこの「なぜ安全か?」という問いへの理由を徹底して説明することに主眼を置きました。
例えばこの動画の主人公である患者の男性は、治験コーディネーターの女性に、素朴な疑問を投げかけます。「この治験の薬って安全?」(右の画像)。
いざ治験を受ける立場になれば、なかなか聞きづらいことでもあるようですが、実際の医師も治験コーディネーターも、患者さんに対しては必ず図や資料を使い丁寧に説明しているはずのテーマです。
動画では、治験コーディネーターがタブレットの中にある図を使って患者さんに丁寧に説明を行うという設定で、視聴者への理解を促します。

治験の安全性を担保する様々な仕組みのイメージショット

上記のカットがそのシーンからの抜粋ですが、詳細な検査を行うこと。医師の診断があり、体調に変化があれば治験は即ストップすること。治験の安全性は個々の患者さんのデータを統合して世界中で共有し、何かあれば即刻治験がストップすることなど、詳細に解説されています。

例えばプラセボについても詳細に説明

また、例えばプラセボ(偽薬)は治験にはつきものですが、そのプラセボについて触れている動画はほとんどありません。ここにも「コンテンツの空白地帯」があると判断し、当作品ではプラセボについて積極的に触れています。

プラセボについての導入部分イラスト

患者様からしたら、治験に参加するとプラセボを飲む可能性があるため、「自分の治療が遅れるのでは?」という不安を抱くのは当然のことです。しかし製薬会社としても医療業界としても、治験による治療の中断は可能な限り減らすよう工夫を施しています。その工夫を説明することは、患者様が無用な不安を感じることなく治験を受けられる環境整備として特に大切なものです。

プラセボに触れている動画が少ない理由は、作り手自身が「患者さんに余計な心配をかけるのでは?」という思いがあるからだと思われます。いわゆる「無難に難しい話はせずに済まそう」という制作者の心理です。
善意からのこととしても、情報を隠すのではなく、「ちゃんと製薬会社も医療業界も考えているんですよ」という姿勢を細やかに説明するほうが患者様の権利を守るという意味でも正しい姿勢です。
プラセボイメージショット映像を制作していると時々起きる現象ですが、「無難」を目指せば目指すほど、動画はその存在意義を失うことがあります。
しかし、アステラス製薬様のスタッフも、弊社のスタッフも、視聴者である患者さんにどう説明をすればその安全性を納得してもらえるか?徹底して考え、この「プラセボの必要性の説明」や「プラセボを使っても患者さんの治療が遅れない理由」という、なかなか扱われることがない題材を映像化することに成功しています。

この作品の根底にあるのは「視聴者を信じる姿勢」です。丁寧に説明をすれば、プラセボを使う事で起きるデメリットは、標準治療に上乗せで治験を行ったり、また治験終了後に治験の薬の効果が認められた場合などはプラセボ群を含めて全員に治験の薬を利用してもらうなどの方法で回避されていることも伝えられるはずです。
弊社やアステラス製薬様のご担当者様が目指したのは、このレベルの「丁寧な説明」でした。

プラセボによる影響が出ないようにする手法の解説

映像はアニメーション+3D-CGの組み合わせ技で表現

映像全体はアニメーションを基本に制作しました。当初はかなり背景などもCMで見かけるような「とんがった演出」をしていたのですが、6分を超えるような長さの動画で15秒と同じ画調を使ってしまうと「視聴者が疲れる」ということもあり、画的な効果を多少マイルドにした作風に落ち着きました。
とはいえ視覚的効果としてストレートにイラストアニメーションのみで制作するのは今時の映像として多少シンプルすぎると思いますので、キャラクターアニメーションはイラストにして、そのキャラアニメや背景を三次元空間上に配置して、カメラを立体的に動かすことで奥行き感などの表現を行っています。
医学的に正しいということはもちろんですが、弊社では医療動画に美しさも求めてきました。当作品はそうした姿勢の表れでもありますので、ぜひ目にする機会がありましたら、最後まで御覧いただければ幸いです。

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デキサでは20年以上にわたり医療機関、大学、製薬企業、医療機器メーカーと様々なクライアント様に向けて医療・医学映像の制作サービスを提供してまいりました。
撮影だけではなくCGやイラストアニメーションを制作することもできる総合映像制作プロダクションのため、医療機関様の広報映像や製薬会社様の機序動画、論文の動画化や医療機器のPR動画と、ジャンルを問わず医療映像の制作全般にお引き受けしてまいりました。

機材の衛生管理テレビ業界のワークフローをそのまま取り入れておりますので大手の伝統的な映像制作会社で働いていたディレクターやプロデューサーなら誰もが抵抗なく弊社と協力関係を築くことができ、中継番組や製作費数千万円規模の番組の現場で闘うカメラマンやビデオエンジニア、そして音声マンや照明マンも、何の違和感もなく弊社デキサの現場で働くことができます。
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