N-V中心を活用した量子センサが持つ可能性を映像化
量子技術は量子コンピュータの開発などが話題となり注目を集めていますが、量子とは様々な粒子を表す幅広い概念であって、その応用は何もコンピュータに限ったことではありません。
今回ここにご紹介するのは量子科学技術研究開発機構(QST)様が研究しているダイヤモンドN-V中心を活用した量子センサの基本構造やその特長を活用範囲に広解説する動画です。
量子センサの活用範囲については具体的に触れずあえてふくらみを持たせることで、このセンサが持っている実に多くの可能性を視聴者の皆さんが自分で考えられるよう留意して構成を行っています。
フル3D-CG作品ではありますが、全体をあたかも色鉛筆で描いたようなタッチでポップに量子の世界を描いています。このタッチについては監修者であるQSTの秦野先生と弊社のプロデューサーでもありCGクリエイターでもある横山のやりとりの中から生み出されたもので、量子を扱う映像にこうしたタッチを取り入れるというのは大変挑戦的な試みであったと感じます。
N-V中心量子センサとは?
ダイヤモンドは炭素の結晶です。しかし本来炭素である場所が窒素(N)で置換され、隣接する位置に空孔(V)がある複合欠陥をN-V中心と言います。N-V中心の空孔はその性質から電子1個を捕獲するため負に帯電時します。そして結晶中の隣り合った炭素原子3つから各1つずつ、窒素から2つの合計5個の電子が加わり、このにN-V中心には合計6個の電子が存在することになります。そしてこれらの電子は2個ずつペアを組み、その中の一つのペアがスピンと呼ばれる量子的な振る舞いを示すようになります。
多くの種類の量子ビットは冷却が必要であるのに対して、このN-V中心の電子スピンは室温でも量子状態を保つことができるため、様々な用途に活用が期待されています。そしてその一つが、この量子センサです。
量子センサ製作現場の取材も敢行
今回はダイヤモンドに加工を加えて量子センサを製作する現場にお邪魔して基本を学ぶところから映像の制作をスタートしました。QST様が機会を設けてくださったおかげで電子線を照射する加速器の実機も見せていただく事ができ、映像のイメージを膨らませるために大きく役立っています。
本作品の横山プロデューサーが現場を視察見学させていただいた時の様子
映像の専門家として学び続ける姿勢
弊社のスタッフは映像の専門家としての立場に軸足を置きながら、様々な分野の研究者の先生方との必要最小限度のコミュニケーションが取れるよう、常に学びの姿勢を持ち続けていることにこだわりを持っています。
こうした姿勢が、一般のテレビ系の映像制作会社などを使う際に研究者の方々が感じる「なかなか分かってもらえない」という感覚を未然に防ぎ、せめて「なかなか勉強してきたようですね」と感じてもらえる程度のコミュニケーションを実現するための大きな秘訣となっています。
科学映像に必要な要素をすべて網羅
弊社は前身となる有限会社時代からの長い歴史があり、私たちスタッフは、テレビ番組やテレビCM、さらにセルビデオといった大がかりな映像作品の現場で制作を行ってきました。
そして2000年代に入ってからは自社でCG制作部門を持つようになり、社内でワンストップフローによる理系動画の制作が可能になりました。
そしてその制作実績は、医療/医学という大変センシティブな分野の映像制作からはじまり、人工知能などアルゴリズムの概念の可視化や、量子科学全般の動画化など、理系全般の映像制作を中心に制作活動を続けています。と同時に、障がい者スポーツを扱うテレビ朝日系のテレビ番組も制作するなど、常にそのジャンルを広げてきた歴史があります。
弊社はまず「科学映像の制作会社」や「CG制作会社」である前に「映像制作会社」です。ですので、科学映像を制作する際においても、映像についてはどんな研究者の方々よりその特性を熟知しています。と同時にその強みを活かしてよい作品を作るためにも、研究者の皆さんに「映像とは何か?」といった基本についても論理的に、理系の方々に理解しやすいように翻訳してお伝えし、さらに良い映像作品をともに作れるよう、クライアントとの足並みをそろえる技術も持ち合わせています。
サイエンス/科学の概念を映像化したい。そんな需要がありましたら、ぜひ弊社デキサを第一選択肢としてお考えくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
作品データ「科学のフロンティアを支える計測技術~量子センサ超入門」QST
制作/デキサホールディングス(株)・CLOUDOH 2025年1月作品
製作著作/国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
プロデューサー/吉井淳治・横山敦子
構成台本/横山敦子
ディレクター/奥山正次
MA/(株)ゲイン
音効・ミキシング/横山敦子
イラスト/上西淳二
ナレーション/山下かほる
CG制作/デキサホールディングス(株)
科学の知識を直観的な映像で
デキサは医療/医学や化学、物理学、地学、情報サイエンスなど、理系の分野全般に広く扱う映像制作プロダクションです。特にイラストを活用したモーショングラフィックスアニメーションや3Dコンピュータグラフィックスを活用した直観的な表現を得意とし、サイエンス映像を手掛けるようになって以来20年以上にわたる実績の積み重ねの中から多くの表現技法の引き出しを持っています。
またテレビ業界やCM制作におけるマスな現場を運営するためのワークフローをコンパクトにリメイクして導入しているため、スピード感ある現場運営で、クリエイティブな思考や検討にかけられる時間を多く稼ぎ出し、常に最良の表現を目指します。
理系の知識を扱うサイエンス映像の制作のご相談は、ぜひ弊社デキサホールディングスまでお気軽にどうぞ。