量子コンピュータと古典コンピュータの違いを映像化
ムーアの法則通りに2年ごとに2倍伸びてきた集積回路におけるトランジスタ数も、そのプロセスルールが2nm近い細密な世界になると、量子トンネル効果など、これまで問題とならなかった事象が「一大事」となり、「もうこれ以上は集積しても回路として成立しない」という段階に入ります。
その解決策として期待されているのが量子コンピュータの活用です。
本作品は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構様からのご依頼で制作した動画で、主に従来の古典コンピュータ(チューリングマシン)と量子コンピュータの動作原理の違いや、実際に演算した際のイメージなどをご紹介するものです。
以下バナーから日本の量子研究者紹介サイトでの動画公開ページにアクセスできます。ぜひご覧ください。
CGを作れるだけでは作れない科学映像
弊社はCGを作れるというだけにとどまらず、こうした量子論をはじめ物理・化学における基本を学び、常に最新の情報に対してアンテナを張り巡らせるという努力を続けています。
このことが、新しい技術を扱う動画や映像作品のご依頼やご相談を、いついただいても即座に対応が可能なことにつながり、弊社の強みとなっています。
通常なら「持ち帰ってリサーチを行い検討いたします」という返事をするところを、ご相談内容を耳にした瞬間に反応できるカテゴリーが大変広いため、見積もその場でご提案することが可能なほどです。
科学映像制作にはもはやCGはなくてはならない不可欠な要素ではありますが、CGが作れるからといって科学映像を受注して適切に制作を行うことができるわけではありません。その意味ではCG制作でさえも、科学映像作品の制作の前では「小手先」にしか過ぎないのかもしれません。
最低限の情報から最適な見積と構成を提案します
弊社の科学映像の特徴の一つに、その分野の専門家であるお客様に「半分しか頼らないこと」が挙げられます。全部を頼ってしまうと、お客様からのご提案以外の優れた構成の可能性がゼロになってしまいます。
今回本作品のお客様である量子科学技術研究開発機構様は、もちろん量子科学の最先端を研究されていますが、私たちは以下の情報のみいただき、見積書と構成案の制作を開始いたしました。
②作品の想定視聴者層はどのような方々か?
③量子コンピュータの何を一番伝えたいのか?
以上の三つをまず決めていただくことで、理想的な映像作品の姿がおぼろげに見えてきます。
例えば①の、「どこで使うのか?」を知ることで尺やフォーマットの目標がまず見えます。ネットでなら3分程度を目標にしなければ視聴者に「長い」ととらえられ、最後まで見てもらうことができる可能性が低くなります。半面、博物館のような展示会場で流すものであれば10分程度までは席に座っていてくれるだろうと考えられます。今回の場合はネットでの公開でしたので、一応は3分程度をめどに見積も構成案も組み立てました。
②の視聴者層を考えることで、どの程度内容を掘り下げるか?が想定できます。例えば研究成果を研究者に伝えるための動画であれば徹底的に深堀りして伝えることができますが、サイエンスから遠い人を対象とする場合は、画で直観的にイメージしやすい話を中心にストーリーを展開するようにします。本作品はサイエンスに興味を持つ若い方々、特に高校生を対象としているため、直観把握しやすいように画でシミュレーションしやすい内容をピックアップして、その映像をCGで組み立てることで直観的に把握しやすいことを第一に構成を行っています。当然、それが可能な見積を提案いたしております。
③はテーマともいえるものですので、ここはお客様にある程度決めてもらえばよいと思いますが、「何を伝えたいのか?」という質問は作品の最終目標とも関連するため、もし最終目標をもっと効率よく達成することができるなら、ほかのテーマ選択逆に弊社側から提案することができます。今回の場合は量子科学への理解促進を第一の目標としているため、対象も仮想視聴者層として「サイエンス好きの高校生」を設定し、量子コンピュータの動作原理を直観的に目で見て把握できることや、将来の量子計算の可能性を示すことを第一にいたしました。
映像の専門家として学び続ける姿勢
弊社は映像の専門家としての立場に軸足を置きながら、研究者の先生方との必要最小限度のコミュニケーションが取れるよう、常に学びの姿勢を持ち続けていることに誇りを持っています。
こうした姿勢が、一般のテレビ系の映像制作会社などを使う際に研究者の方々が感じる「なかなか分かってもらえない」という感覚を未然に防ぎ、せめて「なかなか分かってくれてるな」と感じてもらえる程度のコミュニケーションを実現するための大きな秘訣となっています。
科学映像に必要な要素をすべて網羅
弊社は前身となる有限会社時代からの長い歴史があり、私たちスタッフは、テレビ番組やテレビCM、さらにセルビデオといった大がかりな映像作品の現場で制作を行ってきました。
そして2000年代に入ってからは自社でCG制作部門を持つようになり、社内でワンストップフローによる理系動画の制作が可能になりました。
そしてその制作実績は、医療/医学という大変センシティブな分野の映像制作からはじまり、人工知能などアルゴリズムの概念の可視化や、量子科学全般の動画化など、理系全般の映像制作を中心に制作活動を続けています。と同時に、障がい者スポーツを扱うテレビ朝日系のテレビ番組も制作するなど、常にそのジャンルを広げてきた歴史があります。
弊社はまず「科学映像の制作会社」や「CG制作会社」である前に「映像制作会社」です。ですので、科学映像を制作する際においても、映像についてはどんな研究者の方々よりその特性を熟知しています。と同時にその強みを活かしてよい作品を作るためにも、研究者の皆さんに「映像とは何か?」といった基本についても論理的に、理系の方々に理解しやすいように翻訳してお伝えし、さらに良い映像作品をともに作れるよう、クライアントとの足並みをそろえる技術も持ち合わせています。
サイエンス/科学の概念を映像化したい。そんな需要がありましたら、ぜひ弊社デキサを第一選択肢としてお考えくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
作品データ「古典ビットから量子ビットへ」QST
制作/デキサホールディングス(株)・CLOUDOH
製作著作/国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
プロデューサー/吉井淳治
構成・ディレクター/奥山正次
MA/(株)ゲイン
音効・ミキシング/横山敦子
イラスト/上西淳二
ナレーション/山下かほる
CG制作/デキサホールディングス(株)
科学の知識を直観的な映像で
デキサは医療/医学や化学、物理学、地学、情報サイエンスなど、理系の分野全般に広く扱う映像制作プロダクションです。特にイラストを活用したモーショングラフィックスアニメーションや3Dコンピュータグラフィックスを活用した直観的な表現を得意とし、サイエンス映像を手掛けるようになって以来20年以上にわたる実績の積み重ねの中から多くの表現技法の引き出しを持っています。
またテレビ業界やCM制作におけるマスな現場を運営するためのワークフローをコンパクトにリメイクして導入しているため、スピード感ある現場運営で、クリエイティブな思考や検討にかけられる時間を多く稼ぎ出し、常に最良の表現を目指します。
理系の知識を扱うサイエンス映像の制作のご相談は、ぜひ弊社デキサホールディングスまでお気軽にどうぞ。