2022/4/29公開
北糀谷マンション猟銃立て籠もり事件
昨日(4月28日)、大田区北糀谷で猟銃を持った男のマンション立て籠もり事件が発生しました。40代女性が左腕を何かで切られた状態で逃げ出したのが22:30頃の出来事。部屋には知人の30代男性が猟銃のようなものを持って立てこもったということです。
なぜこの話をするかというと、この現場、うちの会社のCG制作スタジオ(大田区北糀谷1-18-10)の真裏、10メートルほどしか直線距離で離れていない建物で起きた事件だからです。
下の写真がうちのCG制作室と事件現場の位置関係を示した写真です(道路を挟んで向かいの本社から撮影)
事件の詳細については共同通信のニュースが一番最初だったと思いますのでそちらをご参照ください。
この事件が発生した頃、ちょうど、この現場の近くの北糀谷CG制作室では短納期の急ぎの仕事を手掛けていました。緊急車両のサイレン(救急車だと思う)の音で「何か起きてるのかな」という感じだったのですが、表を見たらもう警察車両が山のように目の前の産業道路を埋め尽くしていたわけです。
建物の前に出て警察に聞いてみてもあまり事情は語ろうとしないので、「これは大事だな」と感じたので、スタッフ一同、すぐCG制作室で使っているモデリング/レンダリングの機材からCGのプロジェクトファイルをハードディスクにコピーし、産業道路を挟んで反対側の弊社本社事務所に移動。本社にもCGを制作する環境はあるので、そちらで作業を続行して問題無く朝までに急ぎのCGカットを完成させてテレビ局に納品を滞りなく済ませました。
しかし、早めに本社に作業基盤を移したのは正解でした。道路は移動後ほどなくして封鎖されましたし、とても私たち一般人がビルから出入りできるような状況ではありませんでしたので、あのまま北糀谷CG制作スタジオにいたら作業が続行できない危険性もありました。
一旦落ち着いた状態でネットニュースを見ると、読売新聞の記事では実際に発砲した可能性があることが書かれています。
新聞社やテレビ局のクルマもいましたので、状況はほぼリアルタイムでネットで得る事ができました。弊社の場合は週末など同業他社がお休みの時はテレビ局からの急ぎの依頼でCGを頼まれることが多いので、この時もいくつかの特急案件をお請けしていたので、お客様も不安だろうという事から、以下のような「最新情報」を当社ウェブサイトトップページにも表示いたしております。
基本的に、制作機能は本社側にもあるのでCG制作室で何かあっても作業を継続できることを説明しています。実際に昨夜お急ぎのCGを依頼されていたお客様はテレビ局の方で弊社に来たことがあるため、ピンと来たらしくお問い合わせもいただいたので、WEB上でもご安心いただけるよう、最低限度の説明を書いて安心してもらおうという意図もありました。
結局、事件は被疑者の自殺という残念な形で終わることになったのですが、もしこれが数日間続いていたら弊社の業務にも多大な影響が出かねない状況でした。CGの制作機能を制作室のみでなく本社にも分散しておいて良かったなと思いました。CG制作の設備というのはソフトも高額ですしワークステーションのマシンパワーも普通ではありませんからコストが高いですが、無理してでも分散しておいて良かったです。これも危機管理の一環です。
実はこれ、台風でエレベーターが止まってしまった時の経験から分散することにしたのです。
2019年の台風の直撃からの経験
2019年秋、関東地方を台風が襲いました。台風15号です。
弊社の場合、本社は13階、CG制作室は7階という状態のため、どちらの建物も出入りするにはエレベーターが必要です。ところがこのエレベーターの機械室が2019年9月の台風15号の関東直撃で浸水してしまい、大森南本社の建物も北糀谷CG制作室の建物も、両方エレベーターが止まってしまったという事態が発生しました。
本社13階のほうは二日ほどでエレベーターが復旧したのですが、北糀谷CG制作室のエレベーターは実は10月まで一か月以上直りませんでした。なぜなら修理される前にまた台風が関東を直撃してしまったからです。
これがあの「令和元年東日本台風」です。関東地方を直撃したこの台風による被害は甚大で、災害救助法適用自治体は14都県の390市区町村であり、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)を超えて過去最大の適用となりました。>>ウィキペディアの令和元年東日本台風のページ
当時はCGを制作するシステムは北糀谷CG制作室にしか無かったので、7階までエレベーター無しで毎日上がって仕事をするという状態が続きました。しかもそれが一か月以上です。一旦運び出して本社に移動しようかと思ったのですが、機材の台数や重量を考えると人間のほうが階段で上ったほうが現実的です。
ですから、どうせ数年に一度は何か起きるのだから、北糀谷と大森南本社と、両方にCG制作の設備だけはあったほうが良いなと考え、その時から、両方に設備を置くようにしていたのです。今回はそれが功を奏しました。ある程度は何でも分散しておいたほうが、うまくいきますね。
コロナ禍でも活きた制作設備の分散
考えてみると、東日本大震災もありましたし、令和元年東日本台風もありました。そして今回の猟銃立て籠もり事件。コロナの蔓延も災厄の一つ。
新型コロナの流行で困ったのは打合せスペースの確保でした。できれば、もし誰かがコロナに感染していても、その影響範囲が限定されるような仕組みをとらないと危なくて対面打合せもできません。今はオミクロン株が主流で、どうも統計的に見てもワクチンとの関係もあり、重症化リスクはかなり下がっているようにも見えますが、私は社長ですからお客様の安全を犠牲にしたり、また社員やスタッフが受けるリスクを大きくすることは選択肢の中から選べません。
この「コロナ流行中の打合せ」についてもCG制作機能を分散したことが役立ちました。北糀谷CG制作室は比較的小さいスペースですから、もしお客様が対面でのお打ち合わせを希望された場合は、このスペース全体を打合せ専用に使ってしまうのです。他の作業はすべて大森南本社事務所で行えますから、お客様は不特定多数の人と会う事もありません。出来うる限りの安全性を担保した上で経済活動を継続することができます。
プロの仕事はタフネスさこそ最低条件
仕事である以上、経済性も考えないとなりませんが、このようにある程度リスクを回避するために分散を行うという考えを持つと、「最低限度のコスト」がどこか?という考え方そのものに変化が生じます。弊社の場合はお急ぎの仕事を頂戴する場合が多いので、「何か起きたから一か月会社の機能が止まります」では役に立ちません。CGとは関係ありませんが弊社が撮影で使うカメラシステムが放送用のP2であることも同じ発想です。SDカードのような低信頼性のメディアは使わず、「軍事仕様」とまで言われる信頼性を誇るP2をメインとして使っています。何が起きても仕事を止めないタフさ。これもデキサの特長としてお客様各位にはぜひ頭の片隅に置いていただけると良いなと感じています。
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